2012 Fiscal Year Annual Research Report
鉄触媒を用いる有機金属化合物のアルキンに対する付加反応の開発
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22605005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白川 英二 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70273472)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | チタン触媒 / 亜鉛触媒 / 協同触媒系 / アルキルメタル / 異性化反応 |
Research Abstract |
鉄触媒あるいは鉄-銅協同触媒を用いると,アルキンに対するアリールおよびアルキル Grignard 反応剤やアリールリチウムの付加反応が進行することを,前年度までに明らかにしていた.今年度は,鉄-銅協同触媒を用いるアルキル Grignard 反応剤の異性化反応を基に,それを発展させる研究に取り組んだ.具体的には,まず銅触媒との組み合わせとして,鉄触媒よりもチタン触媒が優れていることを見つけ,さらに銅触媒を亜鉛触媒に替えると,異性化反応に用いることができるアルキル Grignard 反応剤の適用範囲が大幅に拡大できることを明らかにした.このチタン-亜鉛協同触媒を用いると,5-デシルマグネシウムブロミドが 1-デシル体に完全に異性化するなど,アルキル鎖の内部の炭素と結合していたマグネシウムが末端の炭素に移る.このように炭素原子二つ以上を跨いで典型金属がアルキル鎖を移動する反応には前例がない.得られた 1-アルキル Grignard 反応剤は,ハロゲン化アルキルとマグネシウムから調製する一般的な Grignard 反応剤と同様に,クロロシランやアルデヒド,ヨウ素などと反応し,それぞれアルキルシラン,アルコール,ヨウ化アルキルなどを与える.この方法を利用すれば,n-オクタンを臭素化することで容易に得られる 1-, 2-,3-, 4-臭化オクタンの異性体混合物を,そのままオクチル Grignard 反応剤の位置異性体混合物へと変換したのち,1-オクチル Grignard 反応剤へと収束させることができる.位置異性体混合物からの,困難で煩雑な 1-アルキル体の単離生成を必要としないので,工業的にも応用可能な方法と言える.鉄や銅と同様に,チタンや亜鉛も入手容易な元素であることも特筆に値する.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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