2010 Fiscal Year Annual Research Report
Mg-Zn-RE合金の衝撃安全特性および破壊メカニズムの解明
Project/Area Number |
22605007
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
千野 靖正 独立行政法人産業技術総合研究所, サステナブルマテリアル研究部門, 研究グループ長 (50357498)
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Keywords | マグネシウム合金 / 集合組織 / 機械的特性 / 成形性 / 結晶方位 / 希土類元素 |
Research Abstract |
Mg-Zn-RE合金圧延材の集合組織が機械的特性に及ぼす影響を調査するための基礎情報を得るために、Mg-1.5Zn-0.2Ce合金(質量%)圧延材の集合組織形成メカニズムを調査した。本合金は低温(400℃未満)で圧延すると底面が圧延面に平行に配列する集合組織を示し、高温(450℃以上)で圧延すると底面が板幅方向に35°傾く集合組織(以後TD-split textureと記載)を示す。ここでは、異なる試料温度で圧延した試料を供試材とし、熱処理前後の結晶方位分布をEBSDにより測定し、圧延材の結晶方位変化を評価した。 熱処理前の高温圧延材の組織には、TD-split textureを形成する粗大結晶粒(平均結晶粒径:40μm)が数多く確認された。また、粗大結晶粒内部には多くの双晶が観察された。一方、熱処理前の低温圧延材の組織は微細であり(平均結晶粒径:24μm)、TD-split textureを形成する結晶群はわずかであった。 熱処理後の高温圧延材の組織には、双晶を境界とした粗大結晶粒の分断が観察され、分断された結晶粒が粒成長により等軸結晶になることが確認された。また、熱処理前の高温圧延材の転位密度を評価した結果、TD-split textureを構成する結晶群の転位密度が相対的に高いことが分かった。 一連の結果より、TD-split textureの起源は、高温圧延により形成される特異な方位を有する粗大結晶粒であることが明らかとなった。また、熱処理に伴う結晶粒の分断と優先的粒成長により、TD-split textureを構成する結晶群が集合組織を支配する過程が明らかとなった。さらに、低温圧延ではTD-split textureを構成する結晶群が形成されにくいことが一連の実験結果より示唆された。
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Research Products
(3 results)