2011 Fiscal Year Annual Research Report
Mg-Zn-RE合金の衝撃安全特性および破壊メカニズムの解明
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22605007
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
千野 靖正 独立行政法人産業技術総合研究所, サステナブルマテリアル研究部門, 研究グループ長 (50357498)
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Keywords | マグネシウム合金 / 集合組織 / 機械的特性 / 成形性 / 結晶方位 / 希土類元素 |
Research Abstract |
Mg-Zr-RE合金圧延材の準静的歪み速度域及び衝撃速度域での機械的特性を調査した。Mg-1.5wt%Zn-0.2wt%Sm合金押出し材(60×50×5.0mm^3)を供試材とし、試料温度450℃、圧下率20%/passで厚み1.0mmまで圧延を行い、圧延後に350℃,90分の焼鈍を行った試料を調査用試料とした。XRDによる集合組織測定の結果、調査用試料にはMg-Zn-Ce合金と同様にTD-split texture(底面が板幅方向に約35。傾く集合組織)が観察された。 準静的歪み速度域(10~<-3> s^<-1>)で引張り試験を行った結果、圧延方向(RD)に変形した試料は、引張り強度(UTS)187 MPa、降伏応力(YS)86 MPa、破断伸び(FE)25%を示し、板幅方向(TD)に変形した試料はUTS 203 MPa、YS 77 MPa、FE 32%を示した。衝撃速度域(10^3 s^<-1>)で試験を行った結果、RDに変形した試料はUTS 308 MPa、YS 252 MPa、FE 22%を示し、TDに変形した試料はUTS 291 MPa、YS 160 MPa、FE 32%を示した。この様に、歪み速度に依存せず、TDに変形すると相対的に低いYSと高いFEが得られた。また、衝撃速度域では、準静的歪み速度域と比較して、YS及びUTSの顕著な増加が確認された。次に、引張り試験後の試料断面をEBSP(Electron Back Scattering Pattern)法により測定し、試験中の組織変化を調査した。その結果、準静的歪み速度域で試験を行った試料には高密度の局所変形帯が観察された。一方、衝撃速度域で試験を行った試料には高密度の局所変形帯は観察されなかった。この様に、歪み速度の大小に伴い変形メカニズムが遷移することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、TD-split textureを形成するマグネシウム合金圧延材を対象として、準静的歪み速度域及び衝撃速度域での機械的特性を明らかにしている。また、引張り変形時の歪み速度及び圧延材の集合組織が、引張り変形特性および引張り変形時の組織変化に及ぼす影響を明らかにしており、交付申請書に記載した研究について概ね実施することに成功している。また、交付申請書に記載した内容に加え、TD-split textureの形成メカニズムを明らかにすることや、TD-spit textureを形成する新たな合金(Mg-Zn-Sm合金等)を発見することにも成功しており、2次的な知見を導出することにも成功している。ゆえに、研究の達成度はおおむね満足できるものであると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度は、TD-split textureを形成する新たな合金系を探索すると共に、探索した合金系を対象として、準静的速度域および衝撃速度域での機械的特性を調査するとともに、それと並行して、変形時の組織変化を調査する予定である。H22~24年度の成果を元に、優れた室温成形性を有する(特にTD-split textureを有する)マグネシウム合金の変形メカニズムを統合的に明らかにする予定である。
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Research Products
(5 results)