2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22610002
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
志村 洋子 埼玉大学, 教育学部, 教授 (60134326)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
汐見 稔幸 埼玉大学, 白梅学園大学, 学長 (70146752)
藤井 弘義 東洋大学, 工学部, 講師 (10058141)
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Keywords | 保育室 / 音環境 / 室内音響特性 / 環境音暴露量 / 聴力閾値 |
Research Abstract |
乳幼児期の子どもの発達と音環境の関わりについて、近年、欧米ではその重要性が指摘され、我が国においても少ないながらも研究成果が報告されてきている。本研究は、子どもが日々長時間過ごす保育室空間における「音」の環境がもたらす影響に視点をあて、保育室の音環境に関する適正基準とその評価方法を開発することを目的とするものである。 平成22年度は、具体的にはまず観察園での調査に関する説明を実施し、管理者、保育士など全職員に十分理解してもらうよう努めた。了解を受けた後、対象とする保育室内の音響計測を実施した。併せて、これらの保育活動で生起した騒音が日常的かどうか判断するために、3ヶ月間にわたり騒音計による保育室内の音環境データを採録した。また、東洋大学を中心としたスタッフによる、室内の「吸音化に向けたシュミレーションモデル」も作成した。23年度ではこのデータを基に、実際の保育室の音響特性改変(吸音環境)工事を行う運びとなった。 また22年度には、保育者の実際の聴力閾値の損失状況を解析するための聴力閾値測定機材の搬入を行い、測定コーナー(簡易防音室)を観察園内のベランダに設置し、測定の準備を整えた。さらに、5名の成人男性及び女性が1週間、一日のすべての保育活動に参加し、早朝及び園児の午睡時間、保育活動終了時の3時点での彼らの聴力閾値測定を実施し、1週間通しての聴力の変容を解析した。現在の解析結果からは、男女による差がみられるものの閾値の変化が見られ、保育室内の音環境が、長時間の滞在の場合に聴力に影響をもたらす可能性が示唆された。 併せて、対象保育室内のターゲット児2名を決め、保育室内での活動状況の観察録画を継続的に行い、23年度の観察の資料とした。これらの解析結果も踏まえ、室内の音響特性の変容が子どもの遊びや行動、コミュニケーションの円滑さ等にもたらす影響の解析、そこでの保育者の意識や聴力閾値等におよぼす影響を中心に検討する予定である。
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