2010 Fiscal Year Annual Research Report
保育器による医学的管理を要する新生児等のマーカーレス運動画像解析システムの構築
Project/Area Number |
22610014
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
大塚 彰 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (50280194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島谷 康司 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (00433384)
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Keywords | 新生児 / 自発運動 / 画像分析 / 医学管理 |
Research Abstract |
近年,新生児期等の自発的で自然に起こる運動の観察が神経学的評価に有用であり,修正年齢2歳児以降の神経学的予後予測が可能とされ,早期診断法として推奨されている。しかし,この評価法は熟練者の観察によるものであり,定量的な評価の確立が必要である。また,臨床において,新生児の状態を把握して評価・治療を行なうためには運動や姿勢の変化,および内部状態を表わす生体信号の変化を把握することが重要である。新生児の運動や状態を定量的に評価するためのアプローチとして,(1)新生児の運動や体温,心拍数などの生体信号計測,(2)新生児運動の特徴量抽出。(3)特徴量を用いた運動の解析と評価,(4)計測した動画像や評価結果などの表示とデータベースへの保存処理という4つの部分から構成する。 本年度は定量的運動評価を試みるために,ビデオカメラを用いて新生児の自発運動解析を行なった。対象は,満期出生児10名,2500g以下の低出生体重児10名とし,計測時間は5~10分であった。解析の結果,低出生体重児は満期出生児とは有意に異なり,下肢に比べて上肢の運動頻度と運動範囲が高い値を示した(p<0.05)。このことは,低出生体重児は上肢の運動頻度が高く,運動範囲も大きい,あるいは下肢の運動頻度が低く,運動範囲も小さいことが示唆された。 しかし,現段階では運動解析システムはプロトタイプであり,精度の問題,評価項目や評価方法の問題も抱えており,今後の修正が必要である。また,対象者も各10名と少なく,今後,可能な限り多くのデータを解析してシステム構築を行い,精度を向上していく予定である。
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