2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22610016
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Research Institution | Surugadai University |
Principal Investigator |
塚本 美恵子 駿河台大学, メディア情報学部, 教授 (10275927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五嶋 正治 東海大学, 文学部, 准教授 (40439683)
田中 真奈美 東京未来大学, こども心理学部, 講師 (60454188)
山田 光穂 東海大学, 情報通信学部, 教授 (60366086)
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Keywords | こども学 / 教育工学 / 映像メディア / 視聴覚教育 / 異文化理解 |
Research Abstract |
本研究では、子どもたちが映像・音声・文字やノンバーバルな複合的な情報を大量に伝達する映像メディアメッセージをどのように読み解いていくのかを、特に文化理解の側面に焦点を当てて日米で比較研究することを目的に調査研究を行っている。 本年度は、一昨年と同じカリフォルニア州にある日米バイリンガル校、スペイン語と英語のイマージョン校、私立の3小学校でクレイアニメ『雪渡り』の日本語版と英語版で視聴調査を行った。これまでの調査結果から、約13分のアニメのうち、子どもたちが集中して視聴するシーンについては、アメリカの3校と予備調査を行った日本で同じようなパターンが認められた。このことは、言語情報に依存しない状況で映像を視聴した子どもたちは、文化や言語環境が異なっても、同じようなシーンを高い注視度で見ていることが明らかになった。また音楽を伴うシーンについては、いずれの学校でも子どもたちがリラックスした表情が観察されたことから、音楽が映像理解や感情に与える影響も検討する必要があることがわかった。アメリカ児童を対象にした質問紙調査では、回答用紙に描かれた「雪だるま」が2コのものと3コのものがあったことから、本年度の再調査となった。アメリカでは雪だるまを3コで描くことが一般的だが、アニメは日本製で雪だるまは2コである。子どもたちが雪だるまをどう描くかは、映像情報をどのように認知・理解し、再構成するかのプロセスを検討するための有効なデータとなる。文化が子どもたちの理解にどのような影響を与えているかを明らかにする手掛りとして、現在、結果を分析中である。 眼球運動測定装置による調査については、昨年度に加え本年度も1名の児童を対象に測定を実施した。眼球運動測定装置による分析であるが、当初予定した停留点や軌跡を追跡する方法での分析では、時間が経過すると背景も変化していることから、簡略化した形で分析を行うことを決め、再分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、一昨年に引き続き、24年2月に研究代表者が在外研究中にアメリカの日米バイリンガル校、スペイン語と英語のイマージョン校、私立小学校の3小学校で視聴調査を実施した。また眼球運動測定装置による測定調査も、昨年に引き続き1件の追加調査を実施したことから、眼球測定装置によるデータはすでに十分とることができたことから、本年度の予定は、おおむね順調にすすんでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で述べたように、本研究では予定通りおおむね順調にすすんでいる。若干の遅れは、眼球測定装置による測定の分析である。しかし分析方法を簡略化したことにより、分析時間の短縮をはかることができる予定である。 日本とアメリカで実施している視聴調査やフォーマティブ・リサーチは順調に分析がすすんでいるが、今後は日本国内の子どもたちの調査を実施し、比較の観点からデータを分析していく予定である。 来年度は3年目のまとめの年として位置づけ、これまでに実施した調査結果の分析に全力を注ぎ、学会発表や論文発表を行うと同時に、最終的には一般書籍として出版することを計画中である
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