2010 Fiscal Year Annual Research Report
X線顕微鏡によるヒルベルト微分像の観察と位相トモグラフィーへの応用
Project/Area Number |
22611003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡辺 紀生 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (80241793)
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Keywords | X線 / 顕微鏡 / 位相計測 / トモグラフィー / ヒルベルト微分像 |
Research Abstract |
X線領域では吸収よりも位相コントラストの方がはるかに大きいため、特に軽元素からなる生物試料などを観察するのに優れている。我々は、Photon Factory BL3C放射光施設においてゾーンプレートX線顕微鏡を開発し、ゾーンプレート後焦点面に位相板やナイフエッジを置くことにより位相差像やヒルベルト微分像及びシュリーレン像を得ることに成功してきた。平成22年度は、このX線顕微鏡を用いた位相再構成法の開発及び位相CT再構成プログラムの開発とテストを行った。まず、ヒルベルト微分像では、逆方向からの位相板を挿入した2枚の投影像を用いることにより、方向依存性の少ない再構成像を得ることに成功した。また、その位相像を投影像とした位相CT像の取得、及び再構成に成功した。さらに、位相板をナイフエッジに置き換えて露光中に走査することによる位相再構成のテストを行い、アルミワイヤー像において理論計算値に近い位相再構成像を得ることに成功した。また、この方法を用いた位相トモグラフィーのテストを行った。その他、3次元位相再構成法の定量評価のためにポリスチレン球などのテストサンプルのデータ取得を行った。H22年度中旬までのこれらの結果は、X線顕微鏡国際会議のプロシーディング(AIP Conference Proceedings、査読あり、in press)で公表される予定である。実験室系顕微鏡開発においては、Crターゲットを用いた回転陽極型X線発生装置とX線ズーミング管を組み合わせた光学系の設計を行った。
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