2010 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞患者における経神経性神経細胞変性の病態に関する分子イメージング研究
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22613001
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山内 浩 京都大学, 医学研究科, 准教授 (40360812)
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Keywords | 脳・神経 / 脳卒中 / 分子イメージング / ポジトロンCT / 脳主幹動脈閉塞症 / ベンゾジアゼピン受容体 / 選択的神経細胞障害 / 脳梗塞 |
Research Abstract |
まず、脳主幹動脈閉塞性疾患により脳梗塞を呈した患者において、神経細胞障害を反映する中枢性ベンゾジアゼピン受容体(BZR)低下が、脳梗塞のない大脳皮質領域に認められるか、認められた場合大脳皮質機能低下と関連しているか、横断的に検討した。一側の内頸あるいは中大脳動脈に狭窄または閉塞を有する患者60例を対象とし、ポジトロンCTおよび^<15>O標識のガスを用いて、脳血液量、脳血流量、酸素摂取率、および酸素代謝率を、^<11>C標識のフルマゼニールを用いて中枢性ベンゾジアゼピン受容体密度を測定した。病変側の前および中大脳動脈領域大脳皮質において、健常者と比較したBZR低下の程度を示す、abnormally decreased BZR indexを計算し、脳循環代謝パラメータとの関係を検討した。また、大脳皮質機能評価として、ウィスコンシンカード分類テスト(WCST)を施行し、その成績とBZR indexの関連を検討した。その結果、BZR indexは脳酸素摂取率の上昇(脳循環障害の程度の指標)と関連しており、大脳皮質では、慢性脳虚血そのものが、BZR低下の原因であると考えられた。また、WCST達成カテゴリー数低下群39例では、正常群21例と比較してBZR indexが前大脳動脈領域で増加していた.中大脳動脈領域のBZR indexは、左血管病変患者28例を対象としたとき、成績低下群(19例)で正常群9例と比較して有意に増加していた。すなはち、BZR低下として検出される大脳皮質神経細胞障害は大脳皮質機能低下(遂行機能低下)の原因になると考えられた。脳梗塞のない大脳皮質領域においては、神経連絡を介する二次的神経細胞障害(経神経性神経細胞変性)よりは、慢性脳虚血そのものによる一次的神経細胞障害が、神経細胞障害の原因としては重要であり、その予防は、大脳皮質機能障害(認知機能障害)の予防につながると考えられる。
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