2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞患者における経神経性神経細胞変性の病態に関する分子イメージング研究
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22613001
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Research Institution | Research Institute, Shiga Medical Center |
Principal Investigator |
山内 浩 滋賀県立成人病センター(研究所), 画像研究部門, 副所長 (40360812)
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Keywords | 脳・神経 / 脳卒中 / 分子イメージング / ポジトロンCT / 脳主幹動脈閉塞症 / ベンゾジアゼピン受容体 / 選択的神経細胞障害 / 脳梗塞 |
Research Abstract |
昨年度同様、脳主幹動脈閉塞性疾患により脳梗塞を呈した患者において、神経細胞障害を反映する中枢性ベンゾジアゼピン受容体(BZR)低下が、脳梗塞のない領域に認められるか、認められた場合同部位の機能低下と関連しているか、横断的検討を継続した。内頸あるいは中大脳動脈に狭窄または閉塞を有する患者を対象とし、ポジトロンCTおよび^<50>O標識のガスを用いて、脳血液量、脳血流量、酸素摂取率、および酸素代謝率を、^<11>C標識のフルマゼニールを用いて中枢性ベンゾジアゼピン受容体密度を測定した。脳主幹動脈閉塞性疾患により脳虚血を生じないと考えられ、かつ、脳梗塞のない、いくつかの大脳皮質以外の脳領域で、中枢性ベンゾジアゼピン受容体密度と酸素代謝の低下が認められ、経神経性の機能低下の存在が示唆された。そのうちの一部の領域では、両者の低下は並行しており、神経細胞あるいは受容体の障害が機能低下の原因と考えられた。一方、酸素代謝の低下は認めるが中枢性ベンゾジアゼピン受容体密度の低下をともなわない領域もあり、このような領域では、脳梗塞後の比較的早期では神経細胞障害は伴っていないと考えられた。 昨年度、慢性脳虚血そのものによる一次的神経細胞障害が、大脳皮質神経細胞障害と大脳機能障害の原因としては経神経性神経細胞障害よりも重要であるという結果をえた。1990年代に比べて2000年代では、治療も進歩している。そこで、2000年代における、慢性脳虚血と脳梗塞発生との関連を再検討した。その結果,1990年代に比べて、脳主幹動脈閉塞性疾患の脳梗塞発生率は低下しているものの、高度脳循環障害と脳梗塞再発との関連は明らかに認められた。この結果は、慢性脳虚血と大脳皮質神経細胞障害の発生との関連を支持し、神経細胞障害の予防に慢性脳虚血の治療が重要であることを示唆していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
横断的検討のための症例は十分集まっている。一方、縦断的検討にはさらに症例の蓄積が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
縦断的検討のために、経時的検査症例を増やしていく。 定量的評価法、関心領域の設定法につき検討する。
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Research Products
(6 results)