2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22614002
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
関 由起子 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (30342687)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 智子 国立がん研究センター, がん対策情報センター, 室長 (20362957)
八巻 知香子 国立がん研究センター, がん対策情報センター, 研究員 (60392205)
|
Keywords | 学力 / 慢性疾患 / 病弱教育 / 教育格差 |
Research Abstract |
本年度は、内部障がい者の社会的排除の状況を教育面から検討するために、内部障害をもつ子どもの教育の現状と課題について、2者の視点(病気(血友病)を持つ子どもの親、学校関係者(養護教諭))から明らかにした。その結果、学校における病気の子どもの受け入れ上の問題として、第一に病気の子どもが学校では非常にまれである点が挙げられた。教員側には、特別に病気の子どものためだけに時間を割くことが出来ない、病気の知識を得る時間がない状況が、母親側からは教師には病気の知識がない、親が説明しても教師は理解しようとしないと映る状況が伺えた。第二に、病気による教育の遅れ等に関する補償が十分でない点があった。教員側からは、その子のために特別な教材を用意する時間がない、母親からは、欠席日数の多さから学力低下が明らかになっていく過程や、学力回復のために母親のみが奮闘している様子がうかがえた。第三に、病気への理解不足からくる様々な不必要な制約であり、教員側からは、責任を問われることを恐れ体育は見学、宿泊を伴う課外活動は欠席させたり、親の同伴を求めたりする状況が、母親からは、体育の成績が常に悪いことや、課外・宿泊活動の困難さが語られた。以上の2者の視点から明らかになったことは、教育現場が抱える様々な構造的問題(教員の業務過多、疾患等に関する研修機会、保護者対応等)が、病気を持つ子どもの教育の質に直結していることであり、その構造的問題を教師と保護者が理解し協働することが、教育の質の改善のためには必須である。そのために必要な方策として、教員向けのこどもの病気に関する研修の機会の拡充、および保護者向けには、教育現場との協働に関する具体的方法の提供が考えられた。
|