2010 Fiscal Year Annual Research Report
21世紀の市民運動に関する文化人類学的研究-ベルリン外国人集住地区の事例
Project/Area Number |
22614011
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
森 明子 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 教授 (00202359)
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Keywords | 文化人類学 / 社会学 / 社会福祉関係 / 都市計画・建築計画 |
Research Abstract |
本研究は、19世紀以来西欧を中心として近代世界を構成してきた社会原理が、見直しを迫られているという認識のもとに、外国人が集住するベルリンのある地区の都市再生プロジェクトに焦点をあて、市民団体、移民、行政、運動家らがいかに市氏運動を展開しているのか、そのプロセスを明らかにしようとするものである。平成22年度は、以下のような研究実績をあげた。 (1)ベルリンにおける市民運動および都市再生プロジェクトに関する調査;8月から9月にかけて1カ月間の現地調査を行い、1970年代から80年代にかけて行われた市民運動と都市再生プロジェクトの歴史的な展開をあとづけるとともに、現在においてそれがどのように受け継がれているかについて調査した。そのなかのいくつかのプロジェクトについては、関係者にインタビュー調査もおこなった。 (2)国際ワークショップにおける意見交換;1月に、国立民族学博物館でヨーロッパ人類学に関する国際ワークショップ(ヨーロッパ人類学の地平)を開催し、内外の研究者とともに、近代ヨーロッパのソシアルなる概念を検討した。ワークショップの経費の一部は、本科研から支出し、本科研の研究成果も議論にのせて意見交換した。 ベルリンにおける調査では、現代の都市再生プロジェクトが、行政と地域住民、民間セクターの協力関係のもとに、地区の学校、商店街や移民アソシエーション、会社等、多様な団体を組み込んで展開していることが明らかになった。また、市民運動のひとつの系譜として保育園運動が注目されること、さらに今日の新たな展開として多文化教育を担う保育園の動きがあることが明らかになった。これらは本研究のテーマに関して、さらに深く検討する余地があり、23年度以降の調査でも、焦点のひとつに加えていく見通しができた。また、国際ワークショップを介して、ヨーロッパと日本の研究者ネットワークを格段に拡大することができた。
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