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2012 Fiscal Year Annual Research Report

音環境の公正なあり方についての基礎的検討

Research Project

Project/Area Number 22615002
Research InstitutionFukushima University

Principal Investigator

永幡 幸司  福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (50312765)

Project Period (FY) 2010-04-01 – 2014-03-31
Keywords静寂さ / 景勝地の音環境 / 公共空間における音の付加 / 規制値
Research Abstract

本研究は,①「静寂さが求められる自然環境や歴史的環境等における道路新設のあり方についての検討」,②「公共空間における拡声器使用のあり方についての検討」という2つの具体的な事例研究と,③「音環境の『公正さ』についての基礎的(包括的)検討」という理論的研究からなる.
①では,昨年度に引き続き,現時点で自動車の走行音が聞こえてこない,山,海,歴史的景観の観光地の近傍に自動車専用道路を新設する場合,どの程度まで自動車走行音が聞こえても許容できるかについて,心理実験による検討を行った.各被験者複数回の実験を時間を空けて実施した結果,各人の結果は概ね安定していることが明らかとなり,音響学を学んだことのない一般の被験者であっても,各自許容値についての内的な基準があると考えられることが明らかとなった.そして,許容値については,現況の騒音レベルと相関関係はあるものの,SN比でみると一定ではないことが明らかとなり,環境に応じた個別の規制値の設定が必要であることが明らかとなった.
②では,知的作業を行う人にとってのBGM等拡声器音の影響についての実験を行い,現在,その解析中である.また,聴覚過敏の人の求める公共空間での拡声器の使用のあり方について,文献調査と支援者(福祉関係者)からの聞き取り調査を進めている.
③では,昨年度以前の成果も含めた①,②で検討してきた成果と,震災・原発事故により引き起こされた音環境の問題から,音環境の公正さをめぐる論点整理を行った.そして,音環境の公正なあり方についての問いに対しては,各人の思想的立場(功利主義者,経済至上主義者,ロールジアン…)・信念によって,異なる回答をしえることを示した.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の3つの柱のうち,「音環境の『公正さ』についての基礎的(包括的)検討」については,震災・原発事故後の音環境の問題が,この問題を考えるにあたり大きな手がかりとなっていること,被災地の大学の教員としてこれら問題に対する発言が求められる機会が多かったことなどから,計画を大きく超えた成果が得られている.
「静寂さが求められる自然環境や歴史的環境等における道路新設のあり方についての検討」については,当初の予定通りに実験等が進行しており,成果発表を順次行っているところである.
「公共空間における拡声器使用のあり方についての検討」については,高齢者の問題や知的作業を行う人への影響など,サブ的に捉えていたテーマは順調に進んでいる.しかし,聴覚過敏者が求める「公共空間での拡声器使用のあり方」について,調査を進めれば進めるほど,問題の複雑さが露呈してきており,事例的(個別)知見が蓄積するという意味では研究が進んでいるが,学会発表等の形でこの部分の成果が示せていないのは,予定より少々遅れていると評せざるを得ない.

Strategy for Future Research Activity

本研究の3つの柱のうち,「静寂さが求められる自然環境や歴史的環境等における道路新設のあり方についての検討」と「音環境の『公正さ』についての基礎的(包括的)検討」の2つについては,詳細な考察を行い,それらの成果発表を行うという段階であるため,これまで通り研究を進めていく.
また,「公共空間における拡声器使用のあり方についての検討」のうち,サブ的なテーマについては,データを解析し,学会等で発表する段階にあるので,これまで通り研究を進めていく.
そして,「公共空間における拡声器使用のあり方についての検討」の「聴覚過敏者」の問題については,これまでの調査から,ある程度統制のとれた心理実験の形で検討すると,問題を矮小化してしまう恐れがあると考えられるため,彼ら/彼女らの抱える問題のバリエーションの広さを明確化できるような調査に切り替え,その調査結果を公表するという形で成果を示す方向にできるよう,準備を進めているところである.

  • Research Products

    (4 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Problems caused to the acoustic environment by the Japan Quake: a critique from the viewpoint of soundscape study2012

    • Author(s)
      Koji Nagahata
    • Journal Title

      Proceedings of internoise 2012

      Volume: なし Pages: in12_466.pdf

  • [Presentation] 景勝地における騒音許容値と個人嗜好の関係について2012

    • Author(s)
      飯田阿希奈, 赤沼勇人, 庄司友香子, 永幡幸司
    • Place of Presentation
      東京
    • Year and Date
      20120905-06
  • [Presentation] 景勝地における騒音許容値の検討に向けた基礎的研究2012

    • Author(s)
      赤沼勇人, 飯田阿希奈, 庄司友香子, 永幡幸司
    • Organizer
      日本騒音制御工学会秋季研究発表会
    • Place of Presentation
      東京
    • Year and Date
      20120905-06
  • [Presentation] Problems caused to the acoustic environment by the Japan Quake: a critique from the viewpoint of soundscape study2012

    • Author(s)
      Koji Nagahata
    • Organizer
      inter-noise 2012
    • Place of Presentation
      New York City
    • Year and Date
      20120819-20120822
    • Invited

URL: 

Published: 2014-07-24  

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