2010 Fiscal Year Annual Research Report
デザイン思考をあらわす言語概念-その形成過程と新たな展開
Project/Area Number |
22615009
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
樋口 孝之 国立大学法人千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70375608)
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Keywords | デザイン / 感性情報学 / 美術史 |
Research Abstract |
明治期におけるdesign概念の導入と対訳,高度経済成長期におけるカタカナ語「デザイン」の碓立,現代における新領野デザイン活動の展開を対象にデザイン行為や思考をあらわす言語概念の考察を目的とし,本年度は,各時代の資料収集調査を実施するとともに,おもに明治期におけるデザイン思考・行為に関わる言説の抽出ならびに整理,語用の検証を進めた。明治期の美術産業振興,美術家団体活動,官立学校の美術・工芸教育の活動に関する資料から西洋デザイン活動を受容・導入する議論,新聞記事から一般社会へ報知する言説,辞書類から「意匠」「図案」「計画」などの語義を確認していった。京都工芸繊維大学付属図書館において京都高等工藝学校時代の貴重図書を閲覧し,同校創立時期の教育課程や活動方針ならびに『考案鏡』『工藝應用圖案雜誌』における言説を確認した。抽出された言説の考察から,西洋の近代デザイン運動と「意匠」「図案」との対訳関係について言論のおかれたコンテクストからの相違を示唆した。抽出された言論にもとづき,次年度にさらに専門家との討議を重ね,検討・考察を進める。また,財団法人工芸財団研究会において戦後から今日にいたるデザイン活動の目的等の討議を行い,また,高度経済成長期に実践に携わったデザイン関係者をインフォーマントとして同時期のデザイン動向を確認し,カタカナ語「デザイン」調査作業の準備を進めた。
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