2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒューマンモデリングに基づく対話型サービスデザイン
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22615011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古田 一雄 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50199436)
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Keywords | ヒューマンモデリング / サービス / シミュレーション / 可視化 / 対話型設計 |
Research Abstract |
1.羽田空港航空機地上運用プランの再設計 引き続き、民間航空会社の協力を得て羽田空港における地上旅客サービスの現場に密着し、シミュレーションモデルの改良、評価基準の作成、現状によるシミュレーションの実施と問題点の抽出、改善提案の検討を行った。まず、現地のビデオ撮影による観察をもとに、実際の運用とシミュレーション上の運用がどの程度一致しているかを評価した。ビデオの分析により北風時の際のD滑走路連絡橋の合流地点から滑走路端までの所要時間を計測した。また、同時間帯のシミュレートにより所要時間を計測し比較した結果、相関係数が約0.89と比較的良い結果を得た。これにより、本シミュレーションは妥当性があることが証明された。つぎに、空港地表面のサービス評価を行うために評価指標の開発およびサービス評価を行った。サービスモデルからステークホルダーを利用者・事業者・管制官とし、現役パイロットおよび元管制官の航空会社職員にインタビューを行い、それぞれについて評価指標および評価基準の設定を行った。現行ダイヤ及び想定ダイヤに対してシミュレーションを行い、評価指標による評価を行った。さらに、その結果を専門家に提示して意見を得たところ、実現可能性があるのは離陸経路の変更という結果となった。 2.管制官相互作用プロセスのシミュレーション また、航空路管制の現場観察により取得したプロトコルデータの認知分析の結果を参考に、協調行動のための管制官チーム相互作用を再現するシミュレーションモデルを構築した。まず、空域の基本的状況を記述するメンタルコンストラクトを定義した上で、認知分析の結果を述語論理に似た形式的な方式で記述した。つぎに、相互信念モデルに基づいて、管制官相互のコミュニケーションを再現するためのエージェントベースモデルを構築した。認知タスクの優先順位を調整しながらシミュレーションを繰り返し、観察結果と最もよく再現するモデルパラメータを得た。その結果、観察で得られた相互作用の80%を再現することができ、シミュレーションモデルの妥当性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現場専門家の意見を取り入れながら、拡張後の羽田空港における航空機地上運用に関して改善提案を行うのに有効なシミュレーション結果を得たこと、また、管制官チーム相互作用に関して現場観察の結果をよく再現するシミュレーションモデルが構築できたことから、当初計画を十分満足する結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
天候、便数などのシナリオを変更した場合の評価を行い、手法の汎用性を確認する。特に、離陸後の航空経路を考慮した利用滑走路の割振りを考慮する必要があるかどうかを、現場専門家の意見を踏まえながら検討する。 管制官チーム行動の認知分析に関しては、事例を増やして分析を行い、シミュレーションモデルの妥当性をさらに検証する。
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[Journal Article] Cognitive process modelling of controllers in en route air traffic control2012
Author(s)
Inoue, S., Furuta, K., Nakata, K., Kanno, T., Aoyama, H., Brown, M.
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Journal Title
Ergonomics
Volume: 55
Pages: 450-464
Peer Reviewed
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