2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域デザインとしての環境政策の社会過程に関する実証的研究
Project/Area Number |
22615013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大堀 研 東京大学, 社会科学研究所, 特任助教 (20436603)
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Keywords | 地域デザイン / 環境政策 / 行政主導 / 住民参加 / ローカル・アイデンティティ |
Research Abstract |
本研究の目的は、地域デザインの一環としての環境政策を題材とし、その形成および展開過程と地域デザインの相互連関状況を社会学的に検討することである。先進的な環境政策を展開している、岩手県葛巻町、福井県池田町の二自治体を調査対象としている。平成23年度(平成24年度への繰越分を含む)は、行政、経済セクター、NPO・ボランティア団体など市民セクターの諸団体に、本格的なインタビュー調査および資料収集を実施した。 主要な成果は、地域デザインとしての環境政策に関して、両町に共通する社会過程が存在する点を把握したことである。具体的には下記2点が共通している。(1)両町とも、町の地域特性(ローカル・アイデンティティ)の確認作業を経た上で、その特性の具体化が行われている。環境政策も地域特性の具体化の一環といえる。たとえば池田町の場合、人口・工場等が少なく二酸化炭素排出量は少ないことから、二酸化炭素削減は環境政策として重視しない、などである。(2)上記(1)の地域特性確認作業において、両町とも柔軟な住民参加手法を採用している。具体的には一律公募ではなく、小規模自治体であることから適任者が行政・住民双方に明らかであるという利点を活かし、行政職員による適任者の選抜が行われている。 一方、平成23年度の調査では、平成22年度末の東日本大震災により自治体環境政策にも変化が生じていることを確認した。影響が長期化することが考えられたことから研究費の一部を平成24年度に繰越し、調査を継続した。それにより、特に葛巻町での変化が観察された。同町では再生可能エネルギーに注力していたことから、それをより積極化し、また国のエネルギー・環境政策にも積極的に関与しようとしている。 なおインタビューデータの分析のため、会話分析の専門家で、研究代表者所属機関助教の森一平氏に研究協力を仰ぎ、平成25年2月、3月に助力を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度での調査により、平成22年度末の東日本大震災が、各自治体の環境政策に長期的影響を及ぼす可能性があることが確認されたため、その影響も加味することを目的とし研究費の一部を平成24年度に繰り越した。 平成24年度にその繰り越し分による調査を実施し、東日本大震災の影響が具体化しつつあることを確認するとともに、当初の目的である地域デザインの一環としての環境政策に関する社会課程を確認することができ、概ね予定通り進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は補足調査を実施し、研究を総括する予定としていた。実際に平成24年度は補足的調査を行い、細部の確認をすることで論点を補強した。
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Research Products
(1 results)