2010 Fiscal Year Annual Research Report
非言語的な理解の伝達と創造的な即興性を支援するシステムデザイン指針の研究
Project/Area Number |
22615016
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
竹田 陽子 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (80319011)
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Keywords | 暗黙の理解 / 非言語的な理解 / 伝統芸能 / モーションキャプチャ / 情報付加的 / 情報削減的 / 省察のフィードバック・ループ |
Research Abstract |
本研究は、非言語的な理解の伝達と創造的な即興的行為を促進する環境のデザインの要件を探求することを目的としている。本年度は、非言語的な暗黙の理解の伝達が中心となる伝統芸能の伝承への情報技術の利用可能性を実証的に研究した。具体的には、韓国伝統舞踊、韓国伝統打楽器、日本舞踊をフィールドとして、モーションキャプチャ・データ等に基づいて数種類の教材用の映像を作成し、実践者に呈示し、実践者の評価やパフォーマンスの変化を見る実験とインタビュー、質問紙調査をおこなった。その結果、さまざまな情報属性を盛り込んで現実に近づける情報付加的な情報技術の使い方よりも、身体の動き等の特定の情報属性に絞り込んで見せる情報削減的な使い方が、学習者に気づきが生じ行為が改善されるフィードバック・ループを生させることが観察され、特に時間的社会的普遍性のある基本の学習への利用に有効であった。高度な身体技法の習得が必要とされる伝統芸能のように暗黙の理解の比重が高い状況下では、自分の行動を言語的な理解だけで分析することは難しく、自分の求めている行為と現実の行為の間のギャップを感知することで、論理的な思考だけでなくイメージや身体感覚も動員した行為の中の省察が喚起される。特定種類の情報に絞り込む情報削減的な情報技術の使い方をすることはこの行為のギャップを感知することに有効であると考えられる。
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