2011 Fiscal Year Annual Research Report
非言語的な理解の伝達と創造的な即興性を支援するシステムデザイン指針の研究
Project/Area Number |
22615016
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
竹田 陽子 横浜国立大学, 環境情報研究院, 教授 (80319011)
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Keywords | 暗黙の理解 / 非言語的な理解 / 伝統芸能 / モーションキャプチャ / 即興行為 / 国際研究者交流 / 韓国 / ホワイトカラー職場 |
Research Abstract |
本研究は、非言語的な理解の伝達と創造的な即興行為を促進する環境のデザインの要件を探求することを目的としている。平成23年度は、主に、非言語的な暗黙の理解のメカニズムを探るため伝統芸能の伝承への情報技術の利用可能性についてのフィールドワークを継続すると同時に、創造的な即興的行為を促進する環境条件について実験をおこなった。伝統芸能伝承に関するフィールドワークでは、韓国の伝統芸能伝承の場の映像記録と参与観察、舞踊、伝統音楽、演戯の伝統芸能継承者へのインタビュー調査を実施した。即興的な行為が生じるメカニズムと促進条件に関しては、韓国の伝統舞踊、伝統音楽の実践家3名を日本に招聘し、一般の観客の前で即興的なパフォーマンスをおこない、その過程を映像に記録し、3者の間にどのようなインタラクションが生じたかを詳細に分析する実験をおこなった。 23年度は、研究成果として、日本と韓国の伝統芸能伝承におけるモーションキャプチャ利用の実証研究が査読付き論文誌に掲載された。創造的な行為を誘発するプラットフォームに関する概念研究も単行本として共著で刊行された。 また、IT伝承支援研究公開講座PartIII「身体を知る、身体で知る」を開催し、一般受講生80名を集め、研究内容をわかりやすく一般に伝える講演と創造的な即興行為に関する公開実験、および受講生が研究テーマである身体知を実感できるワークショップを実施した。 さらに、伝統芸能伝承との比較対象フィールドとして、企業のホワイトカラー職場の暗黙知の伝達と創造的な即興行為に関する予備調査も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究の目的はすべて達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、今までのフィールドリサーチによって得られたデータを分析し、学会や一般向けに発表する準備をおこなうと同時に、韓国の伝統芸能とホワイトカラー職場をフィールドとした実証研究を引き続き進める。 韓国伝統芸能のフィールドでは、伝統芸能伝承の場の映像記録と参与観察、インタビューをおこない、暗黙の理解がどのように伝えられているかを分析する。 伝統芸能伝承との比較対象フィールドとしてのホワイトカラー職場での研究では、企業マネージャーと専門職の暗黙知の伝達と即興的な行為に着眼し、マネージャーおよび専門職についている企業勤務者に対してインタビュー調査を実施する。 なお、23年度の予備調査では当初ホワイトカラー職場の中で工業デザイナーの暗黙知に着目していたが、研究の応用可能性を高めるため、24年度からは企業のマネージャーと専門職の暗黙知に対象を拡大する予定である。
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