2011 Fiscal Year Annual Research Report
介護情報機器開発・普及のためのテクノロジーマネジメントに関する研究
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22615017
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
井川 康夫 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 教授 (10377434)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤波 努 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 准教授 (70303344)
杉原 太郎 北陸先端科学技術大学院大学, 知識科学研究科, 助教 (50401948)
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Keywords | 認知症高齢者 / 介護 / 技術経営 / 支援技術 / 技術ロードマップ |
Research Abstract |
研究目的で掲げた「なぜ介護現場への技術導入が進まないのか、その原因を探りながら、認知症高齢者介護を目的とした機器の望ましい開発方法、設計原理、適切な導入方法を明らかにする」に対して,今年度は,技術経営上重要な課題である認知症介護の支援技術(assistive technology : AT)の技術予測に注力した.今後どのような技術が生まれ,現場に取り入れられていくのかを社会変化およびそれに伴うニーズ変化の側面と,工学技術の進化の側面から考察することにより,技術開発上の問題点を整理しようと試みた. ATに関する文献調査および介護労働・社会保険に関する統計資料の二次分析を行い,昨年度作成した技術ロードマップを深化させた.まず,約200本の先行研究を整理し,ATを5つに分類した.続いて,この分類を本邦における認知症介護の基盤的思想であるperson-centered careと照らし,各々の技術が介護にどのように寄与するか考察した.さらに,社会保険の使途の推移,老年人口の推移および介護労働の統計データを用いて,社会的動向の変化を考察の素材に加えた.これらの諸相を整理し,技術ロードマップを発展させた.この結果を国内の学会全国大会・研究会で2回,国際会議論文2本発表した。 また,英国Bath大学,Cambridge大およびCambridge在住のassistive technologyおよび技術経営の研究者3名と個別に両国における問題点を話し合った.今後も継続的に議論をし,両者の制度面の課題を比較することで技術ロードマップのバージョンアップに活かす所存である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
介護情報機器開発・普及について検討するとした研究目的を果たすために,対象としてassistive technologyを取り上げ,文献調査および実地調査を通じて問題を整理した.さらに,技術予測の一手法である技術ロードマップを開発し,今後20年の間に開発が予想される技術を社会変化・ニーズ変化,および現状の資源から整理し,さらに今後発生しうる問題についてまとめることができたため,課題をこの区分とした.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,開発した技術ロードマップの妥当性向上について集中する.まず,投稿した論文の査読結果に応じて技術ロードマップを改善する.同時に,作成した技術ロードマップに対する意見を介護分野の実務家・研究者および計算機科学の研究者から求め,整理した技術の発展性およびその開発・普及過程で生じると予測した問題点の妥当性を検討する.さらに,指摘があればそれに応えることとし,技術ロードマップをさらに改善する.
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