2010 Fiscal Year Annual Research Report
医療デザインにおけるデザイン方法論の確立とその応用
Project/Area Number |
22615025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川崎 和男 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70285229)
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Keywords | デザイン / 医療 / デザイン方法論 / デザイン言語 |
Research Abstract |
重粒子イオン治療に代表される新たな放射線治療法の調査を行い,そのデザイン方法論をまとめた.具体的には,ホウ素を用いた中性子捕捉療法および重粒子イオン治療法を対象とした.これは,がん細胞に選択的に蓄積されるホウ素(10B)化合物を用い,原子炉を用いて中性子を患部へ照射し,中性子を補足したホウ素(10B)がアルファ粒子(4He)を放出し,がん細胞を破壊するものである.このプロセスは原子炉から治療室までトータルにデザインされるべきである.本研究者はこれまでに,核分裂反応を用いた小型バッテリの開発を行なってきたが,本バッテリは電子を放出するものであったのに対し,中性子を放出するようにデザインを行い,患者の患部へ直接中性子照射できるようなメカニズムと形態のデザインを行った.また,重粒子イオン治療法に関して,がん病巣をピンポイントに狙って重粒子イオンビームを打ち込む部分に関して,患者の体型(表面形状)および体内の物理成分の分布を考慮したイオンビームマスクのデザイン手法を研究した.平成22年6月までに従来の医療デザイン俯瞰と予備調査を行い,平成22年8月までに「ドライパウダーワクチン吸引システム」,10月までに「心筋再生支援デバイス」,12月までに「スマートトリアージ」について分析を完了する予定であったが,平成22年10月に心筋再生支援デバイスの分析を行なっていたところ,重粒子イオン治療に代表される新たな放射性治療が実用段階を迎え,これらの新治療法は本研究のデザイン方法論の確立に重要となるため,新治療法の調査が必要となり,3ヶ月の遅延を生じたものである.
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