2011 Fiscal Year Annual Research Report
有松・鳴海絞りを用いた脱着容易性と回復意欲に資する病衣デザインの学際的研究
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22615038
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
藤井 尚子 名古屋市立大学, 大学院・芸術工学研究科, 准教授 (30511977)
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Keywords | 病衣 / 療養環境の改善 / Q.O.L / 生きる力の向上 / 脱着容易性 / ADL(更衣動作) / ユニバーサル・デザイン / 社会福祉 |
Research Abstract |
本研究は、看護師らと連携し学際的研究チームにより、現状の病衣の国内外の実情調査をふまえ、「脱着容易性」と「生きる力の向上」について、伝統技法「有松・鳴海絞り」による伸縮性などを応用するデザインにより解決を図ることを目的としている。さらに、病衣デザインにより入院環境の改善に貢献することを目指すものである。 平成23年度の研究成果は以下のとおりである。 (1)名古屋の伝統技法「有松・鳴海絞り」の伸縮性を用いたデザインについての研究 (2)脱着を容易にするなどユーザビリティを向上させる病衣デザインについての研究 (3)ユーザビリティとQOLを向上させる病衣カラー及びコーディネイト可能なパーツ型病衣についての研究(1)更衣時に患者の負担を軽減しうる病衣として、病衣サイズを自在に変化させる構造が必要である。絞りの伸縮性を活かすこととし、多種多様な技法を有する「有松・鳴海絞り」のうち、縫い絞り(「杢目絞り」「雁木絞り」「縫い筋杢目絞り」)のもつ一定方向への安定的な伸縮性を利用することとなった。 (2)脱着容易性を可能とする上衣構造の検討を行い、アームホールの大きさ、アームホール位置(目視可能な位置)の二点から、基本的構造の研究を行った。アームホール位置の検討のため、実験衣として身頃のみJIS規格通常サイズとオーバーサイズの着用実験の比較より寸法の知見を得た。 (3)フィンランド調査(第二回)において、高齢者センターならびにホスピスにおける入居者・スタッフ(医師・看護師、介護者)の病衣に対する意識調査を、聞き取りならびにアンケート調査にて行うなかから特にスタッフ(介護者)の着衣(「私服風職業服」)の意義が見受けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
下衣の構造およびデザインについて遅れていることがあげられる。また、基本型病衣構造については研究が進んでいる状況であるが、応用型病衣(QOLを向上させる病衣カラー及びコーディネイト)に関しては,デザイン的に進捗していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
まず基本型病衣を、アームホール大きさ、アームホール位置、身頃幅を視点に3パターン完成させ、その上で、応用型病衣の提案につなげていく。 次に、基本型病衣の仕様の検討を行うことで製品化につなげ、より多くのモニターより意見集約をめざす。また、論文による学会発表および試作品による展示会にて成果を公開し、広く裨益効果をはかる。
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Research Products
(1 results)