2011 Fiscal Year Annual Research Report
人の生体情報との対話機能を有する車室内空間デザインに関する研究
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22615039
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
横山 清子 名古屋市立大学, 大学院・芸術工学研究科, 教授 (50174868)
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Keywords | 居眠り防止 / 覚醒度向上 / 生体信号処理 / 自動車運転 / 疲労低減 / 振動刺激 / 車室内空間デザイン |
Research Abstract |
自動車運転者や搭乗者の生理・心理状態に応じ、対話的に動作することにより、運転者・搭乗者の快適性を向上させる車室内空間デザインに関する研究を目的とし、今年度は心拍変動と呼吸を用いた生体状態推定方法と、覚醒度を維持するための刺激付与方法を確定した。 実験では、1時間の高速道路走行を模擬し、自動車用シートに着座し、高速道路走行映像を視聴しながら、画面中に表示されるターゲットをステアリング操作で追跡するドライビングシミュレータを用いた。 生体信号(心電図、呼吸、SPO2)、評価者2名による顔表情評定、主観的な疲労感や眠気度のアンケートによる調査、ステアリング操作の追跡目標物からのずれ、を測定した。 運転操作時では、覚醒度低下に伴い、眠気に抗する状態となり、心拍数の上昇、心拍変動から推定される交感神経活動の亢進、覚醒度向上努力の結果として生ずる深呼吸や欠伸に起因する呼吸変動が上昇する結果となった。 覚醒度の維持・向上に効果的な刺激の選定については、心拍に同期するタイミングでシート座面から付与する振動刺激、シート背もたれを6秒間隔で膨張させる体動刺激、シトラスの香りの芳香剤の噴射の3刺激の比較実験を行った。生体信号、顔表情からの眠気度評定値、主観評価値、ステアリング操作の正確度を解析した。心拍動に同期し座面から振動を付与する刺激は、覚醒度向上効果があり、加えて被験者の主観的な快適感が高いものであった。刺激付与時の生体信号解析の結果から、この振動刺激は呼吸の呼気と吸気のタイミングを心臓の収縮のタイミングと同期させ、その結果として血中への酸素取り込み効率が上昇することで、血中酸素濃度を上昇させることができ、結果として覚醒度の向上、あるいは、覚醒度低下防止に寄与することができたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の研究により、快適性を担保し覚醒度を維持する刺激付与方法を確認することができた。また、その刺激の生体への作用メカニズムの推定にも至っており、覚醒度維持に寄与する刺激付与の汎用的なモデル作成への応用発展の可能性も得ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度となる24年度には、眠気防止、疲労低減、注意集中度合いの向上、心理的な安心感と楽しさを提供する快適な車室内環境構築に関するモデル提案を行う。そのために、23年度の結果として得ている刺激の生体への作用メカニズムの検証実験、実車走行を模擬した振動台上のドライビングシミュレータを用いた提案モデルの検証実験を主に行なう。本研究終了後には企業と共同での実用化を目指す予定である。
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