2011 Fiscal Year Annual Research Report
筋伸展はミオシン頭部をアクチンに向けて突出させ、収縮性クロスブリッジ形成を促す
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22616008
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
竹森 重 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (20179675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 眞紀 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (30271315)
本村 雅子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (30328314)
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Keywords | X線回折 / サルコメア / アクチン / ミオシン / ゲルゾリン |
Research Abstract |
横紋筋における収縮機能を実現する主役であるアクチンとミオシンは、筋節という結晶様規則に組み立てられているが、この構造構築は機能素子としてのアクチンやミオシンに還元できない、筋伸展による自原性の収縮活性化という特性をもたらしている。構造構築がこのような特性を実現する仕組みを解明するために、筋節長を変えた骨格筋と心筋のX線回折実験を高エネルギー加速器研究機構・放射光施設のG型共同利用実験により進めている。本年度は使用ステーションがBL6Aステーションに変更になり、さらにイメージングプレートの読み取りシステムがGE社性のものになることに合わせる対応を行った。筋伸展がミオシン頭部固有の突出状態に与える効果を知るためにはミオシン層線を解析する必要があるが、骨格筋だけでなく心筋でもこのミオシン層線を十分に解析可能な標本を得るためには平均分子量3350のポリエチレングリコールを3%と20mMのブタンジオンモノオキシム共存させることがとても効果的であることが確認された。とくにブタンジオンものオキシムの共存によりミオシン層線のラティスサンプリングが強く現れるようになったことから、ミオシン頭部の規則螺旋配列も格段に改善されてミオシン頭部の固有状態の解析精度が向上した。これまでに得られた結果は、ミオシンとアクチンとの単純距離だけでなく立体特異的な相互関係が収縮活性化機構のカギであることをますます強く示唆している。この結果からミオシン頭部が突出することで、実効的なミオシン濃度がアクチン近傍で上昇していることになり、このことがアクチン-ミオシンの協同的な活性化を促進して弛緩から収縮への効率的な状態変化が実現されるようになっているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イメージングプレート読み取りシステムの変更に合わせて、結果解析のオリジナルプログラムの書き換えと、十分に構造をよく保った標本の確立の遅れにより、エックス線解析実験を優先した。このためにリン酸アナログを利用してアクチンとの親和性を抑制したスキンド標本での架橋実験の方が滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
ラティスサンプリングが強く現れるほどの結晶性の高い標本が得られるようになったので、この良好な規則構造を保った標本を用いてリン酸アナログを利用してアクチンとの親和性を抑制したスキンド標本での架橋実験を効率よく進める。
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Research Products
(2 results)