2010 Fiscal Year Annual Research Report
下肢・下顎・頭蓋骨骨細胞の部位特異的力学刺激応答に基づく骨粗鬆症治療の基礎的研究
Project/Area Number |
22616009
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
高垣 裕子 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (60050689)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 骨細胞 / 骨芽細胞 / 顎骨壊死 / アポトーシス / 不動 / 胚葉 / 力学的刺激 |
Research Abstract |
Bisphosphonate製剤や抗RANKLヒトモノクローナル抗体製剤は顎骨壊死を引き起こす可能性が報告されている。顎骨は、咀嚼・咬合により物理的刺激が日常的に加わる環境下にあり、他の骨に比してturnoverが速いことが報告されているものの、物理的刺激と顎骨壊死との関連は不明である。そこで我々は、下顎骨骨芽細胞の力学的負荷に対する応答に特殊性が見出されるか否かを明らかにする目的で、頭蓋骨・下肢骨と下顎骨由来の骨芽細胞のLIPUS刺激応答を比較検討した。 段階的コラゲナーゼ処理法にてC57B6Jマウスの頭蓋骨、下肢骨、下顎骨よりそれぞれ骨芽細胞を単離し、一週間培養後にLIPUSを24時間間隔で20分間2回照射し、2回目照射の20分後に細胞を回収した。細胞のメッセージとタンパク質はRT-PCR・二重蛍光免疫染色,Western Blotting等にて解析を行った。その結果、骨吸収を誘導するRANKLのデコイレセプターであるOPGのメッセージは、いずれの細胞においてもLIPUS刺激による顕著な変化を示さなかったが、RANKLは、下顎骨において1)他の細胞より基礎値が一桁近く低く、2)LIPUS照射後にのみ下肢骨・頭蓋骨のレベルまで増加した。また抗アポトーシス作用を示すBcl-2のメッセージは、下顎骨由来の細胞でのみLIPUSにより顕著に増加した。免疫染色の結果もこれらを支持しており、RANKL/OPG、Bcl-2/Baxの比率から、LIPUS刺激に依存したリモデリング・骨量の維持が想定された。従って下顎骨では、力学的刺激が骨を維持し骨芽細胞系細胞のアポトーシスを防いでいることが示唆された。RANKL下流の経路を遮断する薬剤にはデメリットも考えられる。
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Research Products
(5 results)