2011 Fiscal Year Annual Research Report
積層型液晶パネルを用いた多視点裸眼立体視ディスプレイ
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22650024
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
後藤田 洋伸 国立情報学研究所, 情報社会相関研究系, 准教授 (80300705)
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Keywords | 情報システム / ディスプレイ / 立体視 |
Research Abstract |
本研究では、「複数の液晶パネルを積層し、パネルに厚みを与えておけば、視線方向に依存して表示素子の重なり合い具合が変化する」という現象に着目し、これに基づいた新たな裸眼立体視の方式を考案する。具体的には、積層型液晶パネルを用いる方式の基本的な性質を解明し、理論的な基盤を与えると共に、プロトタイプシステムを構築して実用化に向けての可能性を検証することを目的としている。平成22年度には、本方式の基本アルゴリズムを確立し、その理論的な解析を行なった。 平成23年度は、プロトタイプシステムの構築に着手した。最終的には4層のパネルから成るシステムを構築することを予定しているが、平成23年度は2層パネルまでの積層にとどめ、構築方法についてのノウハウを習得することに注力した。具体的には、構築に使用する液晶パネルの光学的な性質を、1層の場合と2層の場合に分けて計測し、そのモデル化を行なった。このモデルによって、積層された液晶パネル群を斜め方向に横切る光の透過率を、簡易に近似計算できるようになり、平成22年度に開発した基本アルゴリズムに組み込むことが可能となった。また、市販の液晶パネルを分解したり、一定間隔をあけて積層したりする上での種々のノウハウを得ることもできた。以上を踏まえて、プロトタイプシステムの中間バージョンを構築した。 プロトタイプシステム(中間バージョン)からは、立体視が可能であることが確認できた。視域は限定的ではあったが、見る角度に依存して表示される画像が変化する模様も確認できた。画質については、工作上の精度が十分ではなかったせいか、予想されていたレベルよりも低かった。これを向上させることが今後の課題として残されている。 これらの成果を踏まえ、平成24年度はプロトタイプシステムの最終バージョンを構築し、性能評価や、他の裸眼立体視方式との比較・検討などを行なっていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究実施計画では、積層型裸眼立体視ディスプレイのプロトタイプシステムの中間バージョンを構築すること、および、構築方法についてのノウハウを得ることを目的としていた。いずれも、当初の予定通り達成することができたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見を踏まえて、積層型裸眼立体視ディスプレイのプロトタイプシステムの最終バージョンを構築し、その性能評価を行なう。具体的には、様々な視点位置における表示画像の品質を、ビデオカメラ等を用いて測定し、シミュレーションによって得られる結果との間の整合性を確認する。また、実際に目視してみて、両眼視差、運動視差等の効果を確認する。さらに、既に実用化されている裸眼立体視の諸方式の中から、視差バリヤー法とインテグラル・イメージング法を取り上げ、本研究の対象である積層型方式との間で、比較・検討を行う。
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