Research Abstract |
平成13年度に政府が発表した「保健医療分野の情報化にむけてのグランドデザイン」にて,電子カルテシステムを始め医療IT技術の普及が課題の一つとして掲げられた.以降,急速に医療のIT化が進み,その結果,電子カルテの普及とともに,大量に臨床データが蓄積されつつあるが,いまだ,そのデータをフルに利用した有望な研究/医療サービスは存在しない.本研究では言語処理技術を用い,(1)カルテのテキスト情報を構造化された情報へ変換する技術を研究/開発し,(2)その技術で臨床現場をサポートするシステムを構築/実証実験を行う.本提案は医療分野において高い期待を集める課題であるだけでなく,言語処理技術の応用可能性を試すという観点で,言語処理分野においても挑戦的な課題である. ただし,カルテ文章は個人情報の塊ともいえる文章であり,研究利用が困難である.したがって,まず,ダミーのカルテデータを構築することから着手した(phase-1).次にデータのアノテーションを行い(phase-2),これを自動化する言語処理技術を研究開発した.研究対象となる技術は,固有表現特定/表記ゆれ吸収/モダリティ解析といった基礎研究に分解可能で,学術的意義と社会的重要性の両方に貢献可能なよう配慮した.最後に,開発した技術を用いたアプリケーションを実装し,実証実験を行った.実験は,糖尿病患者におけるコントロール状態の認識,検査名の変換など多分野に渡り,研究の実効性を確認した.本研究の成果,および,構築したデータ((1)ダミーのカルテ文章,(2)データ仕様,(3)実証実験結果)は今後の研究を加速するものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表記ゆれ現象の研究は進んだが,その材料となったダミー文章の一部について,倫理委員会の許可が遅れ,公開が遅れている.
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