2010 Fiscal Year Annual Research Report
能の謡いの芸術表現の可視化に基づく聴覚潜在脳研究手段の開発
Project/Area Number |
22650042
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
河原 英紀 和歌山大学, システム工学部, 教授 (40294300)
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Keywords | 能の謡 / 音声分析 / 基本周波数 / 非周期性 / 音声合成 / スペクトル包絡 / 成分位相 / 瞬時周波数 |
Research Abstract |
まず、研究手段として用いる能の謡の音声の芸術的印象を再現することを可能とするために、高品質・高精度の音声の分析ならびに合成技術の開発を進め、その方法による分析結果の可視化技術のプロトタイプを開発することとした。実験に用いるための能の謡の音声については、研究協力者である藤村靖オハイオ州立大学名誉教授と金春流のシテ方である金春康之氏らの協力によって、以前に奈良新公会堂の能舞台において収録したものと、ATR人間情報通信研究所の無響室において収録したものを中心に用い、補足資料として中山一郎大阪芸術大学教授が配布しているものを併用することとした。このような準備の下で進めた研究により、これまでの音声分析・合成において困難であった二重音声のような非周期性の抽出と合成を可能とする方法を開発するとともに、その方法を用いる際に問題となる分析パラメタの最適化を進めることができた。また、音声の基本周波数の分析に重要な役割を果たす瞬時周波数の計算において、TANDEM-STRAIGHTのスペクトル推定法で用いた基本的なアイデアを拡張することにより、周期性に起因する時間変動を完全に排除することのできるアルゴリズムを発明することができた。このアルゴリズムは、本研究の手段として用いてきたTANDEM-STRAIGHTの音源情報に関連する部分を、根本的なレベルで改良するものである。さらに、併せて進めて来たスペクトル包絡の近似精度の改善と併せることで、本研究の挑戦の中心となる本格的な実験を翌年度に実施するための基盤を確立することができた。
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