2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22650045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿久津 達也 京都大学, 化学研究所, 教授 (90261859)
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Keywords | ブーリアンネットワーク / 確率ブーリアンネットワーク / 制御 / 線形離散時間システム / アトラクター / 代謝ネットワーク / NP完全 / Canalyzing関数 |
Research Abstract |
本年度は以下の研究を行った。 (1) Nested Canalyzing関数からなるブーリアンネットワーク(BN)の点アトラクター検出 生命システムの離散数理モデルにおいて現れるプール関数の多くがNested Canalyzingと呼ばれる関数クラスに属することが知られている。そこで、ブール関数がこのクラスに制約されたBNに対して点アトラクターを検出する0(1.799^n)時間のアルゴリズムを開発した。ただし、nはBNの頂点数である。 (2) 確率ブーリアンネットワーク(PBN)制御の計算複雑度解析 BNの制御問題に対して整数計画法が有効に適用できることを以前に示したが、PBNに対しては有効に適用できなかった。そこで原因を考察したところ、PBNの制御問題が(妥当な計算論的仮定のもとで)NPより広いクラスに属することが判明した。この結果は、PBNの制御問題が(NPに属する)BNの制御問題より真に難しいことを示唆するとともに、NPに所属する問題である整数計画法が有効に適用できない理由も示唆するものである。 (3) 代謝ネットワークのブールモデルにおける影響範囲の解析 以前より代謝ネットワークのBN的モデルにおいて、反応の不活性化による影響範囲の数理解析を行ってきたが、本年度は影響範囲の確率分布を近似的に導く方法について検討を行い、予備的な成果を得た。最終的な結果は平成23年度にまとめる予定である。 なお、当初予定していたBNと線形離散時間システムの融合は検討を行ったものの妥当な数理モデルを構築することができなかったため、平成23年度に改めて検討することにした。
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