2012 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジアの石刻絵画の形状解析から先史時代の状況とメッセージを探る
Project/Area Number |
22650052
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Research Institution | Kobe Design University |
Principal Investigator |
高木 隆司 神戸芸術工科大学, デザイン学部, 特別教授 (80015065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出原 立子 金沢工業大学, 情報学部, 准教授 (00299132)
水野 慎士 愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (20314099)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 石刻絵画 / 中央アジア / 形状解析 / 動物の役割 / メッセージ解読 / 絵画のスタイル |
Research Abstract |
今年度は、中央アジアの遺跡に見られるウシ(野牛、絶滅種のオーロックスを含む)について形状解析を行った。ウシの絵画には、描き方に多様性があり、完全なシルエットだけでなく、内部構造が描かれているものもある。絵画の描き方をスタイルと呼ぶことにする。 スタイルの差を特定する解析的方法として、従来の方法である画像のスケルトンから形状コードを抽出することに加えて、画像の周囲長と面積を求め、周囲長と面積の平方根の比(体形の細さと凹凸の多さを表す)、および内部構造も含めた全輪郭長と外周の輪郭長の比(内部構造の複雑さを表す)を計算した。その結果、新石器時代まではほとんど完全なシルエットであり、青銅器時代以降は完全なシルエットと内部構造をもつ複雑なスタイルが混じることがわかった。スタイルの差と遺跡相互の距離には、強い相関は見られなかった。一方、絵画の中でウシが果たす役割とスタイルには、一定の関係があることが明らかになった。このことは、スタイルによってメッセージを伝えようとした可能性を示唆する。 絵画の中でウシが果たす役割を、(1)単独で描かれる(役割は不明)、(2)動物集団の単なる一員、(3)家畜としての役割、(4)宗教的な場面に登場、(5)狩りの対象、(6)動物集団の中心的地位、の6つに分類した。これらのうち、(1ー4) のほとんどは完全なシルエットで描かれている。一方、(5、6)は、内簿構造をもつ場合が多い。内部構造の型には、白抜き(輪郭の内部が広い空白)、格子状の模様、斑点の分布、格子と斑点の共存、などがある。内部構造の型と動物の役割の差異には相関は認められなかった。以上から、次のことが結論される。内部構造の描写には野生のウシに対する人間の思い(賞讃あるいは恐れ)が込められていること、および人間社会に組み込まれ人間に従属するウシは、単純なシルエットで表現されていることである。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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