2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22650057
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹村 彰通 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (10171670)
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Keywords | 多変量解析 / 分類・パタン認識 / 計算機集約的統計 / 統計的予測・制御 |
Research Abstract |
ゲーム論的確率論は,Shafer and Vovk(2001)の本によって提唱されて以来,さまざまな技術的な拡張が得られて来ている.研究代表者(竹村)および協力者(竹内啓,公文雅之,宮部賢志,李靖)によって,本年度は次のような結果が得られた. 1)ゲーム論的確率論における大数法則の証明は,測度論的確率における議論と同様にKroneckerの補題を用いるのが標準的である.Kroneckerの補題を用いるためにはrandom seriesの収束を示す必要がある.ゲーム論的確率論ではこれまで大数法則のさまざまな収束レートが得られてきたが,random seriesの収束のレートを明示的に導出した研究はなされてこなかった.この問題に対して我々は,2乗ヘッジさらにはより一般のヘッジの存在するゲームにおいて,random seriesの収束に関する一般的な結果を得た.さらにゲームのプレーヤーであるRealityの確定的な戦略を構成する一般的な方法を導出した. 2)2値の現状(例えば雨が降るか降らないか)に対する確率予測(例えば気象庁による降雨確率の予測)は,時系列解析の対象としてこれまでも興味を持たれて研究されて来たが,これをゲーム論的確率論の観点から考察することにより,確率予測の良さの定量的な評価が可能となる.確率予測の統計的モデルとして,ロジスティック回帰モデルをベースとした賭け戦略を考えると,統計的推測理論の諸結果をゲーム論的確率論の観点から応用することが可能となり,性能のよい賭け戦略が得られる.賭け戦略の応用により,気象庁の予測には50%に近い予測値を出すというバイアスの存在することも明らかとなった. 以上の研究成果のうち1)は最近国際雑誌に刊行された.2)は現在原稿を執筆中で近日中に国際雑誌に投稿する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ゲーム論的確率論におけるプレーヤーであるRealityの確定的な戦略の構成など,予想外の展開が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
ゲーム論的確率の一つの応用であるDefensive forecastingの観点からは,Forecasterという第3のプレーヤーをより明示的に考察した賭け戦略を構築する必要がある.ロジスティック回帰に基づく戦略はそのような側面を持った戦略であり,これを発展させる必要がある
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