2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNAチップのプローブ核酸として優れた特性を持つ新規人工核酸の理論設計
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22650061
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
栗田 典之 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40283501)
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Keywords | DNAチップ / 人工核酸 / プローブ核酸 / 電流検出型 / 電気伝導特性 / DFT / Green関数 / シミュレーション |
Research Abstract |
1.金電極とDNA2重鎖間の接続構造を変化させた場合め電流電圧特性への影響の解析 密度汎関数(DFT)法に基づく高精度分子軌道法と非平衡Green関数法を組み合わせ、分子の電流電圧特性を、周囲に存在する水分子を考慮して高精度に解析できる分子シミュレーション手法を開発した。金電極のモデルとしてAu原子44個から成るクラスターを採用し、この電極をDNA2重鎖の両端に付加し、様々な接続構造に対し、DNA2重鎖の電気伝導度を計算した。その結果、DNA塩基にスタックするように金電極を接続させた場合に、より伝導度が高くなることを明らかにした。また、スタッキングの距離の僅かな変化により、伝導度が大きく変化することも明らかになった。 2.人工核酸塩基を含む人工DNA2重鎖の安定構造及び電流電圧特性の解析 高い電荷移動効率を持つ人工核酸が実験で合成され、それらの人工核酸を含む人工DNA2重鎖が高い電気伝導度を持つことが明らかにされている。本研究では、まず、既存の人工核酸塩基を含むDNA2重鎖の伝導度を解析し、実験結果を定性的に説明できる結果を得た。さらに、新規の人工核酸塩基を実験に先駆けて提案し、それらを含む人工DNA2重鎖の構造と伝導特性を解析し、従来よりも伝導特性に優れた新規の人工DNA2重鎖を提案した。 3.様々な低分子の電気伝導特性の高精度解析 本研究で開発した高精度な伝導度計算プログラムを用い、様々な構造の低分子の電気伝導度を解析し、実験で得られた伝導特性を定性的に説明できる結果を得た。特に、低分子と電極間の接続構造、及び低分子周囲の水和水が、伝導度に大きな影響を与えることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究が順調に進み、3編の論文を、査読付きの国際学術誌に発表することができ、研究が予定通りに順調に進んでいると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、DNA2重鎖の長さを拡張した2重鎖の伝導特性を解析しようとしているが、計算にはかなりの計算機資源と時間が必要であり、今後、より計算速度に優れた計算手法を導入し、より効率的な解析を行いたいと考える。
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Research Products
(5 results)