2010 Fiscal Year Annual Research Report
改変狂犬病ウイルスベクターによる新しい神経回路トレーシング手法の開発
Project/Area Number |
22650063
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 謙一 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (90455395)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / ウイルスベクター / 解剖学 |
Research Abstract |
本研究では、越シナプス的感染伝播が起きる回数や神経路を限定する新規逆行性神経トレーシング手法を実現することを目的とし、まず神経解剖学において有用な越シナプス的トレーサーとして使用されている狂犬病ウイルスCVS株をベクターとして利用できるよう構築したフルゲノムプラスミドに対し、新規挿入したGFPやRFP等のマーカータンパク質の発現量を増強させる組み換えを行い、ベクター感染によりこれらのタンパク質が効率的に発現することを確認した。また、特定の神経路を選択的に排除する逆行性越シナプス的トレーシング法の実現のため、狂犬病ウイルスのポリメラーゼ蛋白質に対する細胞内抗体の発現が狂犬病ウイルスCVS株の感染伝播を阻害することを確認し、現在アデノ随伴ウイルスベクターに細胞内抗体及びマーカー蛋白質を組み込んだベクターを利用して感染伝播が阻害されるかの検討を進めている。また、特定の神経路を選択的にラベルする経路選択型・次数制御型の逆行性越シナプス的トレーシング法の実現のため、感染伝播能を欠損させた逆行性ウイルスベクターとして、ウイルスの外被タンパクをコードする遺伝子をウイルスゲノムから欠損させた改変狂犬病ウイルスベクターを作製した。この際にウイルス回収率が低く霊長類へ適用する力価が容易に得られないことが問題となったが、濃縮・精製法を改良することにより、高力価のベクターを得ることに成功した。現在、この伝播能欠損狂犬病ウイルスベクターにマーカー遺伝子と共にCreリコンビナーゼあるいはテトラサイクリン制御性トランス活性化因子を組み込んだベクター、および同ベクターの感染伝播制御用ベクターとして、狂犬病ウイルスのゲノムの一部とG遺伝子を組み込んだアデノ随伴ウイルスベクターを共感染させることにより特定の神経路において逆行性感染伝播が実現されるかの検討を行っている。
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Research Products
(11 results)