2010 Fiscal Year Annual Research Report
標的ニューロン活動を促進性・抑制性に制御する遺伝子改変技術の開発
Project/Area Number |
22650065
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
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Keywords | 脳機能 / 神経活動 / 細胞標的法 / 抗体 / リポソーム |
Research Abstract |
脳機能を媒介する神経機構を理解するためには、神経回路を構成する特定のニューロンの行動生理学的な役割の解明が必須である。本研究では、特定ニューロンの活動を促進的あるいは抑制的に制御し、より普遍的に利用できる新しい遺伝子改変技術の開発に取り組む。ヒトIL-2Rαに対する抗体をリポソームに結合させ、その内部に各種イオンチャネルブロッカーを含有させることによって、IL-2Rαを標識した目的のニューロンにブロッカーを選択的に導入し、イオンチャネルの阻害により、細胞の活動を迅速に制御することが期待される。本研究では、第一に、ヒトIL-2Rαを選択的に認識する組換え体イムノトキシンanti-Tac (Fv)-PE38の単一鎖抗体可変部をFcに連結した融合タンパク質【anti-Tac (Fv)-Fc】をリポソームに結合させたイムノリポソームの作製を試みた。anti-Tac (Fv)-Fcをコードする発現ベクターを作製し、HEK293丁細胞に導入した後、適当な時間に培地を回収し、プロテインAアフィニティーカラムを用いてタンパク質を精製した。精製タンパク質をリポソームに化学修飾により結合させ、anti-Tac (Fv)-Fcイムノリポソームを調製した。第二に、anti-Tac (Fv)に水泡性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSV-G)の膜貫通ドメインを連結し、細胞膜結合型の融合タンパク質【anti-Tac (Fv)-VSV-G】をコードするバキュロウイルス発現ベクターを作製した。 このベクターを昆虫のSf9培養細胞に導入し、anti-Tac (Fv)-VSV-Gを含むウイルスベクターを作製し、ベクターとリポソームを融合することにより、anti-Tac (Fv)-VSV-Gを持つプロテオリポソームを調製した。これらの2種類のリポソームについて、ヒトIL-2Rαとのin vitro結合活性をELISA法によって検討した。いずれのリポソームも非特異的な結合活性があるものの、選択的にIL-2Rαに結合する活性を持つことが示された。今後、イムノリポソームあるいはプロテオリポソームの物質導入活性を評価するために、in vitroでの非特異的な結合を抑制する実験条件を検討するとともに、ヒトIL-2Rαを発現する細胞への物質導入活性について検討し、神経細胞の活動を選択的に制御するための遺伝子改変技術の開発を進める。
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Research Products
(4 results)