2011 Fiscal Year Annual Research Report
標的ニューロンの活動を促進性・抑制性に制御する遺伝子改変技術の開発
Project/Area Number |
22650065
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
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Keywords | 脳機能 / 神経活動 / 細胞標的法 / 抗体 / リポソーム / プロテオリポソーム |
Research Abstract |
脳機能を媒介する神経機構を理解するためには、神経回路を構成する特定のニューロンの行動生理学的な役割の解明が必須である。本研究では、特定ニューロンの活動を促進的あるいは抑制的に制御し、より普遍的に利用できる新しい遺伝子改変技術の開発に取り組んだ。ヒトIL-2Rαに対する抗体をリポソームに結合させ、その内部に各種イオンチャネルブロッカーを含有させることによって、IL-2Rαを標識した目的のニューロンにブロッカーを選択的に導入し、イオンチャネルの阻害により、細胞の活動を迅速に制御することを目指した。ヒトIL2Rαを選択的に認識する組換え体イムノトキシンanti-Tac(Fv)-PE38の単一鎖抗体可変部をFcに連結した融合タンパク質[anti-Tac(Fv)-Fc]をリポソームに結合させたイムノリポソーム、および、anti-Tac(Fv)に水泡性口内炎ウイルス糖タンパク質(VSV-G)の膜貫通ドメインを連結し、細胞膜結合型の融合タンパク質[anti-Tac(Fv)-VSV-G]をコードするバキュロウイルスベクターとリポソームを融合することにより、anti-Tac(Fv)-VSV Gを持つプロテオリポソームを作製した。イムノリポソームあるいはプロテオリポソームは、培養細胞に対して非特異的な吸着率が高いため、物質導入活性を評価するためにはin vitroでの非特異的な結合を抑制する実験条件を検討する必要があった。この目的のために、イムノリポソームあるいはプロテオリポソームを含む溶液(ローダミンで標識)に、anti-Tac(Fv)-Fcを含まないリポソーム(非標識)を種々の濃度で混合することにより、ブロッキング効果について検討したところ、非標識リポソームの濃度依存性に非特異的な結合が低下することが明らかとなった。今後、リポソーム内部にナトリウムチャネルあるいはカリウムチャネルに対する阻害剤を封入し、細胞機能の制御に応用する。
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Research Products
(5 results)