2010 Fiscal Year Annual Research Report
線虫モデルを用いたタウオパチー治療薬の戦略的スクリーニング
Project/Area Number |
22650074
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
宮坂 知宏 同志社大学, 生命医科学部, 助教 (90342857)
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Keywords | タウ / 認知症 / 線虫 / クルクミン / 創薬 / アルツハイマー病 / チューブリン |
Research Abstract |
アルツハイマー病をはじめとする認知症では、変性神経細胞中に微小管結合タンパク質タウの蓄積が認められ、タウオパチーと呼ばれている。現在までにタウオパチー発症のメカニズムは不明であるものの、介護に代表される認知症を取り巻く社会経済的な負担、その疾患の多様性などの理由から治療薬の開発は喫緊の課題となっている。本研究では、これまでに構築したタウオパチーモデル線虫を用いて、タウによる神経機能異常を軽減される化合物の開発を目的としており、1,線虫モデルを応用した効率の良いin vivoスクリーニング系の構築と、2,クルクミンを中心とした抗タウオパチー治療薬の開発を進めるものである。 1, 高効率のスクリーニング系についてはmyo-2 :: DsRedの安定発現株(integrant)の構築を進行中であり、現在最終的なライン確立に至っている。構築後、基礎的な行動、形態学的解析と平行し、現存するタウ発現線虫との交配をすすめ、薬物スクリーニング系の構築に向けて順次進行する予定である。 2, スクリーニング系の構築と平行して、既存のタウオパチーモデル線虫をもちいた様々な化合物の薬理解析をおこなった。その結果ウコン(curcuma longa)の黄色色素成分・クルクミンにこの神経機能障害を軽減させる効果があることを見出した。一方、本研究で用いたタウオパチーモデルではタウの重合がみられず、タウの重合阻害が期待されている化合物群については、本疾患モデルでは有効性を見出せなかった。さらなる解析により、クルクミンは神経細胞の形態学的異常を軽減させること、安定型微小管を形成するacetylated a-tubulinを増加させることを明らかとした。以上よりクルクミンはタウの重合過程とは異なるステップにおいて神経機能障害を軽減させること、その薬理作用として微小管の安定化を促す可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)