2011 Fiscal Year Annual Research Report
線虫モデルを用いたタウオパチー治療薬の戦略的スクリーニング
Project/Area Number |
22650074
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
宮坂 知宏 同志社大学, 生命医科学部, 助教 (90342857)
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Keywords | タウ / 認知症 / 線虫 / クルクミン / 創薬 / アルツハイマー病 / チューブリン |
Research Abstract |
アルツハイマー病をはじめとする認知症では、変性神経細胞中に微小管結合タンパク質タウの蓄積が認められ、タウオパチーと呼ばれている。現在までにタウオパチー発症のメカニズムは不明であるものの、介護に代表される認知症を取り巻く社会経済的な負担、その疾患多様性などの理由から治療薬の開発は喫緊の課題となっている。本研究では、これまでに構築したタウオパチーモデル線虫を用いてタウによる神経機能異常を軽減される化合物の開発を目的としており、1,線虫モデルを応用した効率の良いin vivoスクリーニング系の構築と、2,クルクミンを中心とした抗タウオパチー治療薬の開発を進めるものである。 1,高効率のスクリーニング系についてはmyo-2;IDsRedの安定発現株(integrant)を構築し、基礎的な行動解析を行った後に、現存するタウ発現線虫との交配を終えた。蛍光実体顕微鏡と高感度CCDカメラによる蛍光動画撮影も成功し、NGM培地上の行動、M9緩衝液中でのthrashing行動などにおいて咽頭筋DeRed蛍光の自動追跡および運動量測定に成功した。さらにタウ遺伝子導入線虫または線虫の神経筋接合部アセチルコリン受容体agonistによる運動障害モデルにおいて、正常線虫とは異なる有為な運動障害の検出、定量化を可能にした。 2,スクリーニング系の構築と平行して、既存のタウオパチーモデル線虫をもちいた様々な化合物の薬理解析をおこなった。その結果ウコン(curcma longa)の黄色色素成分・クルクミンの他に構造上相関性の無い新たな有効化合物を見出した(特許出願の可能性があるため、化合物名は伏せる)。クルクミンの作用機序について解析した結果、in vitroタウ重合系では既存のタウ重合阻害剤(methylene blue)と同等な重合阻害活性が認められた。しかし、dimer形成が亢進するモデル線虫(punc-119::4R)を用いた解析では行動障害は改善されるもののdimmer formationは阻害されなかった。これより、クルクミンのin vivoでの効果については重合阻害とは異なる作用であると考えている。
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