2010 Fiscal Year Annual Research Report
若齢造血系幹細胞の骨髄腔内移植による老齢個体の若返り
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22650075
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
田口 明彦 独立行政法人国立循環器病研究センター, 再生医療部, 室長 (10359276)
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Keywords | 脳血管障害 |
Research Abstract |
血管系と造血系は胎生期において共にhemangioblastより発生するが、成体においても造血系幹細胞が微小循環の維持に重要な働きをしていることが示されている。過去の研究において申請者らは、脳の微小循環網は常に改変を伴う動的な状態で恒常性が維持されており、脳血管障害患者の末梢血中造血系幹細胞の減少・老化が、脳循環代謝の低下・脳梗塞の発症・認知機能の悪化と強く関連していることを明らかにしてきた。本研究では申請者が開発した造血系幹細胞の骨髄腔内移植の手法を用いて、老齢個体に対する若齢造血系幹細胞移植を行い、その微小循環障害に対する影響を明らかにするとともに、造血系幹細胞の若返りにより細胞レベル、組織レベル、個体レベルの若返りが可能であるか否かの検証を行っている。平成22年度において、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHR-SP)を用いた研究において、放射線照射などの前処置なしで若齢個体の骨髄単核球(造血系幹細胞)分画を老齢ラット(50週齢以上)骨髄内に移植し、(1)移植後30日の時点では末梢血成分で約5%のキメラが作成されること、(2)若齢骨髄移植のRecipientである老齢SHR-SPにおいて、脳循環障害時の血管反応性が著明に向上すること、(3)これらの作用は、若年由来骨髄細胞の血管内皮細胞におけるeNOSの活性化およびp38の不活性化を介したものであること、を明らかにした。それらの結果をJ Cereb Blood Flow Metab.誌に投稿し、accept されるとともに、本研究の成果が造血系幹細胞の若返りにより微小循環系を中心とした老化の抑制・若返りの可能性を示すものとして、テレビニュースや新聞などでも大きく取り上げられた。
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Research Products
(1 results)