2011 Fiscal Year Annual Research Report
若齢造血系幹細胞の骨髄腔内移植による老齢個体の若返り
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22650075
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
田口 明彦 独立行政法人国立循環器病研究センター, 再生医療部, 室長 (10359276)
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Keywords | 血管再生 / 造血系幹細胞 / 老化 / 若返り / 脳梗塞 / 腎障害 / 骨髄単核球 / Tie2 |
Research Abstract |
平成23年度には、研究計画通り(1)in vitroの系において、造血系幹細胞(骨髄単核球)分画の血管内皮細胞活性化作用に関する機序の検討、および(2)in vivoの系において高血圧に伴う腎障害に対する骨髄の若返り効果の検討、を実施した。 in vitroの系においては、HUVEC(ヒトさい帯静脈血管内皮細胞)および骨髄由来単核球細胞の共培養を行い、血管再生や血管の安定化に重要な役割を果たしているTie2(内皮細胞特異的受容体チロシンキナーゼ)およびVE-Cadherinの局在変化に関する検討を実施した。その結果、VE-Cadherinの局在は骨髄単核球細胞の有無にかかわらずHUVEC間の細胞接合部位にのみ観察されたのに対し、Tie2は骨髄単核球細胞との共培養により細胞質内から細胞表面への移動が観察された。Tie2を介した血管内皮細胞の安定化は血管内皮間の機能的な接着に重要であり、これらの知見は骨髄移植と血管の機能をリンクする薪しいメカニズム解明の起点となるものであると考えている。 in vivoの系においてはSHR-SP(脳卒中易発症高血圧ラット)を用いて、若齢骨髄移植を行い、腎障害に起因するタンパク尿の変化に関する研究を行った。その結果、若齢骨髄移植によるタンパク尿の増加抑制傾向が観察されており、骨髄の若返り効果が脳微小循環だけでなく全身の微小循環障害に対して普遍的な効果を持つ可能性が示唆されている。平成24年度もこれらの研究を継続して実施することにより、末梢血中骨髄由来細胞と微小血管の維持・若返りに関する新たな知見がさらに得られると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画を順調に実施し、新しい知見も得られている。特に骨髄の若返り効果が脳だけでなく、腎臓でも観察されており、若返り効果は臓器特異的な現象ではなく、全身的に普遍的な現象であることが明らかになったことは大きな発見であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も末梢血中骨髄由来細胞と微小血管の維持・若返りに関する知見獲得に努める。今年度は、そのメカニズムに焦点を当てた研究を予定しており、in vivo系における老化関連タンパクの動態の変化を遺伝子およびタンパク発現の観点から研究を進め、その検証をin vitro系で実施する予定である。
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Research Products
(1 results)