2011 Fiscal Year Annual Research Report
二分子蛍光補完による複数サイトカインシグナルの入力部位同時検出法の開発
Project/Area Number |
22650078
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中島 欽一 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (80302892)
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Keywords | 神経幹細胞 / 二分子蛍光補完 / 分化 / サイトカイン / アストロサイト |
Research Abstract |
申請者は、IL-6ファミリーサイトカイン(IL6-FC)群及び骨形成因子群が相乗的に作用して神経幹細胞のアストロサイト分化を誘導することを明らかにした。しかし生体内において、神経幹細胞が実際にこれらアストロサイト誘導性サイトカインのシグナルを受け取っているのか、さらに細胞のどの部分で受け取っているかについては不明のままである。そこで本研究では、サイトカインシグナル入力の際に、受容体膜タンパク質と転写因子が会合することを利用したこれまでにない二分子蛍光補完(BiFC)法により、異なるサイトカインシグナルの入力同時観察、及びその入力部位同定を行う技術を開発する。さらにこの結果と申請者らのこれまでの成果を統合して、アストロサイト分化能獲得から分化まで、その一連の過程を説明する概念の提示を目指す。 予備的実験より、軟膜細胞がIL6-FC発現細胞であることを同定している。そこで、生体内でIL6-FCのシグナル入力を観察するため、BiFC法の開発を試みた。IL6-FCは、膜タンパク質gp130を介してJAKチロシンキナーゼを活性化する。JAKはgp130の細胞内領域をリン酸化し、STAT3はそのリン酸化チロシン残基に会合する。本研究ではこの会合を利用して、二分子蛍光補完(BiFC)法によりシグナル受領の検出とその細胞部位を同定する。まず、gp130と緑色蛍光タンパク質Kusabira-Green(KG)のN末側約半分の融合タンパク質(gp130-NKG)及びSTAT3とKGのC末側約半分の融合タンパク質(STAT3-CKG)の発現コンストラクトを作成した。これは、細胞がシグナルを受け取り両者が結合した場合にのみKGの立体構造が再構築され蛍光が観察されるという原理に基づいたものである。作成したコンストラクトを細胞に導入した結果、数種の組み合わせで蛍光を確認した。
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