2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22650081
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
畠 義郎 鳥取大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40212146)
|
Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 神経回路 / シナプス |
Research Abstract |
神経回路の機能やその可塑性を理解するには、シナプスでの分子変化に注目する必要がある。シナプスを構成する機能分子群は、それぞれの神経結合で異なっているが、脳組織全体よりサンプルを調製すると、シナプス部分だけでなく神経細胞の様々な部分が含まれてしまう。さらに、全ての神経結合に由来する成分が混在するため、特定のシナプスにおける変化は確認しがたい。そこで、あらかじめ標識しておいた特定の神経結合に由来するシナプトソームを単離することで、これらの問題の解決を目指す。本課題では、視覚野への入力軸索をモデル系とし、以下の2段階に分けて研究を遂行する。 1)蛍光蛋白質標識を用いた特定シナプトソームの回収法を確立する。 2)脳に蛍光標識したトレーサーを注入することでニューロンを標識し、標識されたシナプス由来のシナプトソームを回収する方法を確立する。 昨年度に確立したシナプトソーム回収法を基に、本年度は、実際に蛍光トレーサーを脳に注入して軸索を標識した動物よりシナプトソームを調製し、標識投射に由来するシナプトソームを分離することを試みた。蛍光標識したデキストランアミンなど数種類の神経トレーサーを大脳皮質に注入し、シナプトソーム標本を調製したところ、カルボシアニン蛍光色素DiIによって標識したシナプトソーム標本において、蛍光強度の強い顆粒群を検出した。次に、DiIを注入した大脳皮質についてシナプス前終末のマーカー蛋白の免疫染色を行い、DiIが軸索末端部分を標識していることを確認した。その後、注入部位より得られたシナプトソームを、フローサイトメトリー解析を用いて蛍光強度依存的に分離した。蛍光陽性集団と蛍光陰性集団について免疫染色を行い、標識シナプトソーム標本が単離できているかどうかを確認した。その結果、蛍光陽性集団に標識シナプトソーム標本が多く見られた。
|