2010 Fiscal Year Annual Research Report
放射線活性化型ナノ粒子による癌治療システムの基盤構築
Project/Area Number |
22650109
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 健雄 京都大学, 工学研究科, 助教 (80378801)
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Keywords | ナノ粒子 / 放射線活性化 / 低酸素腫瘍細胞 / 水和電子 / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
ナノ粒子は、そのサイズ効果により腫瘍付近に蓄積しやすいために、薬剤輸送材料として注目されている。腫瘍周辺では低酸素雰囲気が存在する。放射線と水との反応により生じる水和電子は、このような低酸素領域では生き残るため、水和電子との反応により抗腫瘍剤をリリースするシステムは、腫瘍治療の放射線増感剤として期待できる。平成22年度は、還元開裂性リンカーをもつ薬剤-ナノ粒子複合体の合成に取り組み、以下のような成果を得た。 (1) 既知の方法を改良した光化学的手法により、均一な金ナノロッド粒子を作製した。 (2) 合成した金ナノロッドの溶液内分散性と腫瘍細胞指向性を高めるために、ポリエチレングリコールおよびアルキルアミン構造で表面修飾した金ナノロッドを合成し、その表面電位、分散性、腫瘍細胞内取込能を調べた。その結果、作製した表面修飾金ナノロッドは、低酸素細胞周辺のpHにおいて正の表面電位を示し、腫瘍細胞内に効率良く取り込まれうることがわかった。 (3) 水溶液の放射線反応により生成する水和電子を活性化剤とする、開裂型リンカーの有機合成を行った。金ナノ粒子表面への固定のためにチオール基を含み、かつ水和電子により抗がん剤を遊離する構造を分子設計した。当初、抗がん剤として5-フルオロウラシルを含む薬剤放出システムの合成を目指したが、合成上の問題により、同じく抗がん作用を示すシタラビンを遊離しうる分子構造の合成を試み、成功した。
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Research Products
(4 results)