2011 Fiscal Year Annual Research Report
放射線活性化型ナノ粒子による癌治療システムの基盤構築
Project/Area Number |
22650109
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
伊藤 健雄 京都大学, 工学研究科, 助教 (80378801)
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Keywords | ナノ粒子 / 放射線活性化型 / 低酸素腫瘍細胞 / 水和電子 / ドラッグデリバリーシステム |
Research Abstract |
平成23度までに、光化学的手法により均一な形状の金ナノロッドを調製する手法を確立した。また、放射線開裂型リンカーとして、金表面固定用にチオール基を含み、放射線還元反応により開裂、抗がん剤を遊離する化学構造を合成した。しかしながら、抗がん剤修飾ナノ粒子の水中分散性が悪いことが明らかとなったため、平成24年度はその改善に努めた。 (1)抗がん剤修飾金ナノロッドの安定性向上 種々の抗がん剤担持金ナノロッドを調製したが、表面修飾構造によっては金ナノロッドの凝集が起こり、水溶液中で安定に分散するナノ粒子を得るには至らなかったことから、抗がん剤とともにポリエチレングリコール(PEG),およびクエン酸で金ナノロッド表面を共修飾後、ジスルフィド結合をリンカー構造内に含むシタラビン(抗がん剤)を金ナノロッド表面に固定したところ、水中での分散性を高めることに成功した。また、その組成比を変えることで、適度な分散性を示す比率を見出すことができた。 (2)抗がん剤修飾金ナノロッドの放射線抗がん反応特性評価 ジスルフィド結合をリンカー構造内に含むシタラビン、およびその担持金ナノロッドの水溶液に、低酸素雰囲気下で放射線照射し、新規抗腫瘍性ナノ材料としての機能評価を行った。低酸素状態での水溶液へのX線照射では、水和電子が長寿命で発生するために、その還元作用による抗がん剤遊離することが期待された。その結果、放射線反応で生成する反応活性種のうち、水和電子により確かにシタラビン遊離量が最大になることがわかった。これに対して、他の活性種(OHラジカル、水素原子)ではほとんど遊離しないこともわかった。 そこで、腫瘍細胞に対する毒性評価、放射線増感効果を評価した。シタラビンを表面に固定した金ナノロッドに放射線照射し、それを腫瘍細胞A549に投与したところ、抗腫瘍効果は示したものの放射線照射に対する増感効果はく10%であった。
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Research Products
(7 results)