2010 Fiscal Year Annual Research Report
隣接した筋同士の連結は運動力学的、病態生理学的に影響しあうか?
Project/Area Number |
22650128
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
河上 敬介 名古屋大学, 医学部, 准教授 (60195047)
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Keywords | 骨格筋 / 筋連結 / ラット / トルク / リハビリテーション |
Research Abstract |
筋は、一般的に教科書に載っている起始や停止以外に、隣接した筋にも付着し連結している。我々はこの連結が、大殿筋と大腿四頭筋(外側広筋)のような異なる関節運動を行う2筋間にも存在することを、この連結が互いの筋に運動学的影響を及ぼす可能性があることを明らかにした。しかしヒトによる研究では、この連結が運動力学的にどのくらいの影響を持つのか、筋骨格系の病態にどのくらい関与するのかを定量的に明らかにするのは難しい。そこで、本研究の目的は実験動物を使って、この連結が接続する筋間に及ぼす影響を運動力学的に解析することである。さらに、連結した筋からの力学刺激が、病態生理学的現象に影響を及ぼすかを検証することである。 そこでまず、本年度は、ラット後肢の膝関節付近の連結部を実体顕微鏡下で剖出・観察し、実験的に用いることのできる連結部位をの検討を行った。その結果、ラットの浅殿筋と大腿二頭筋との間の連結を用いることが妥当であることが判明した。浅殿筋の筋束は胸腰部の脊柱棘突起から始まる腰背腱膜から起こり、主に大腿部や下腿部の筋膜に移行する。しかし、筋腹の尾方1/4の領域は大腿二頭筋との間に存在する腱膜に終っていた。また、大腿二頭筋は寛骨から始まるり、下腿筋膜に移行して脛骨に終わるが、筋腹の一部は、浅殿筋が終わる腱膜から始まっていることが判明した。ヒトにおける、大殿筋と大腿四頭筋と同様に、浅殿筋の収縮は、腱膜を介して大腿二頭筋を牽引することが考えられた。一方、最終年度に行う予定の連結する2筋のうち一方の筋に病態(損傷)を起こした時の、他方の筋への影響を調べるためのモデル作製実験を行った。特に、連結の影響を定量的評価するために必要な、ばらつきが少ない一定量の損傷モデルを作製する方法を検証し明らかにした。 以上の成果は、運動器系、特に筋系の病態やその理学療法の解明に重要な基礎データとなる。
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