2010 Fiscal Year Annual Research Report
変形性膝関節症に対する運動療法の生物学的効果とバイオマーカーの開発に関する研究
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22650130
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
沖田 実 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50244091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 淳哉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20584080)
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Keywords | 変形性膝関節症 / 実験モデル / 関節炎 / 電気刺激 / 筋収縮運動 / 腫脹 / 痛覚閾値 / 二次痛覚過敏 |
Research Abstract |
今年度は、ラット膝関節に起炎剤を投与することによって変形性膝関節症モデルを作製するとともに、大腿四頭筋への電気刺激による筋収縮運動が患部ならびに遠隔部の痛覚閾値におよぼす影響を検討した。予備実験も含めて50匹のラットを実験に供し、現段階では15匹のラットが妥当なモデルとして使用可能であった。実験デザインとしては、(1)3%Carrageenan-Kaolin混合液300μLを膝関節に注入することで関節炎を惹起させた後、8週間通常飼育とする群(関節炎群)、(2)同様に関節炎を惹起させた後、4週間通常飼育を行い、4週後より電気刺激を行う群(電気刺激群)、(3)生理食塩水300μLを膝関節に注入することで関節炎惹起の疑似処置を行い、その後8週間通常飼育を行う群(Sham群)を設定した。電気刺激の方法は大腿四頭筋に表面電極を貼付し、周波数50Hz、パルス幅250psecの条件で、4,0mAの刺激強度で20分間通電した。なお、その頻度は隔日とし、延べ4週間実施した。そして、実験期間中は膝関節の横径を測定することで腫脹の程度を評価し、併せてプッシュプル・ゲージを用い膝関節の圧痛閾値を測定した。また、遠隔部である足底部の痛覚閾値はvon Frey filament (VFF)を用いて評価した。結果、起炎剤投与1日後より膝関節の腫脹と圧痛閾値の低下を認め、これは2週間持続した。一方、遠隔部である足部の痛覚閾値も起炎剤投与1日後より低下を認め、これは8週間の実験期間すべてにおいて低下が認められた。次に、電気刺激の効果は患部には認められなかったが、遠隔部に対しては痛覚閾値の低下が軽減していた。つまり、関節炎の発生に伴う二次痛覚過敏に対して筋収縮運動が有効である可能性が示唆され、今後はそのメカニズムを解明する予定である。
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[Presentation] 慢性痛の末梢機構2010
Author(s)
沖田実
Organizer
第15回理学療法の医学的基礎研究会学術集会
Place of Presentation
日本福祉大学名古屋キャンパス(名古屋市)
Year and Date
2010-05-26
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