2012 Fiscal Year Annual Research Report
変形性膝関節症に対する運動療法の生物学的効果とバイオマーカーの開発に関する研究
Project/Area Number |
22650130
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
沖田 実 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50244091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 治郎 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20380834)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 / 実験モデル / 関節炎 / 筋収縮運動 / 炎症 / 腫脹 / 痛覚閾値 / 慢性痛 |
Research Abstract |
今年度は、ラット膝関節炎の発生直後から電気刺激を用いた筋収縮運動を行い、患部ならびに遠隔部におよぼす影響を検討した。実験デザインとしては、1)起炎剤である3%カラゲニン・カオリン混合液を右膝関節に注入し、関節炎を惹起させる関節炎群、2)関節炎の惹起後、右膝関節をギプスで不動化する不動群、3)関節炎の惹起後、低強度の筋収縮運動を実施する運動群、4)疑似処置として生理食塩水を右膝関節に注入する対照群 の4群を設定した。そして、運動群に対しては起炎剤投与翌日から大腿四頭筋を電気刺激し、筋収縮運動を誘発し、これを20分間(週6回)実施した。次に、各群に対しては起炎剤(生理食塩水)投与の前日から経時的に右側膝関節の腫脹と圧痛閾値ならびに遠隔部である足底の痛覚閾値を評価した。また、実験終了後は大腿直筋と関節組織を採取し、組織学的検索に供し、前者に関しては筋線維直径の計測も行った。結果、大腿直筋の筋線維直径は関節炎群と運動群の間に有意差は認められず、今回の筋収縮運動では筋肥大効果はないことが実証された。しかし、患部の腫脹や圧痛閾値、遠隔部の足底の痛覚閾値に関しては運動群が関節炎群や不動群より早期に改善を認め、逆に患部の運動を制限した不動群は自動運動が可能な関節炎群よりも患部や遠隔部の痛みが持続した。なお、関節組織の組織学的検索における炎症の評価結果については、関節炎群、不動群、運動群の間に顕著な差はなかった。以上のことから、関節炎発生直後から筋収縮運動を行うと、患部の炎症症状のみならず、遠隔部に生じる慢性痛の徴候を予防できる可能性が示唆され、これは筋肥大などによるバイオメカニカルな効果ではなく、運動そのものの生物学的効果に由来していると考えられた。一方、関節炎発生直後から運動を制限してしまうと慢性痛に発展する可能性が高いことも明らかとなり、臨床における過度の安静の問題点も明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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