2011 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄小脳変性疾患者のリハ訓練の効果を小脳失調モデルマウスで評価する技術の確立
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22650132
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
別府 英博 (別府 秀彦) 藤田保健衛生大学, 藤田記念七栗研究所, 准教授 (30142582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新里 昌功 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (80148288)
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Keywords | 脊髄小脳変性疾患 / 疾患モデルマウス / 小脳失調 / 運動失調 / リハ訓練 / 運動負荷 / B6-wob/tマウス / 生体成分分析 |
Research Abstract |
脊髄小脳変性症(SCD)患者の運動機能改善の効果を高める有効なリハ訓練法は確立されておらず、脊髄小脳系以外の機能を保つことが優先される。その理由として、SCDは変性疾患であるため、損なわれていく運動機能を回復させるリハ訓練方法がない為と考えられる。そこで申請者は、SCD患者の発症原因と類似する、小脳変性マウスB6-wob/tに対し、SCD患者に行っている運動負荷、歩行訓練、下肢重錘負荷、膝装具、バンテージ処方などのリハ訓練を行うことで、マウスの運動失調が改善されるのかを研究の目的としている。さらにそれらは、小脳失調の原因とされる小脳プルキンエ細胞の変性の軽減や、発症時期の遅延への影響(効果)も視野に入れた研究である。以上を目的として、22年度に観察された(1)小脳失調の発症時期は生後30日齢ごろと判断されたこと。(2)運動失調は1ヶ月齢すでに観察されることから、23年度は、(1)生後5日~20日齢および1-6ヵ月齢の小脳の組織標本の作製、(2)2次元電気泳動による、小脳内タンパク質(プロテオーム)解析、(3)生後20週齢の雌雄に対する強制回転ゲージを用い運動負荷(1日2m/分を50分3回/日)を4か月行った。その間1カ月ごとに、協調運動を評価するロータロット試験で改善を評価した。その結果(1)小脳プルキンエ細胞は、生後10日前後から変性・脱落していた。(2)プロテオーム解析は、対照のB6に対し異なるタンパクスポットが確認された。(3)運動負荷群は非負荷群に対し、協調運動の改善が負荷1か月目から見られ、それは雄よりも雌の方のパフォマンスが向上した。このことは、当該マウスの運動失調を運動負荷訓練により改善を示唆するもので、このメカニズムの解明を行うことにより、SCD患者の運動療法に応用が期待される。さらに、運動負荷が、小脳プルキンエ細胞の変性・脱落の軽減にも影響を与えるものか研究の足がかりが示せる。SCD患者の運動機能障害を遅らせるプログラムの構築を目指し、QOL向上を図りたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)プルキンエ細胞の変性・脱落の様子を、基本的なH.E染色法で確認できたことで時間短縮が出来た。(2)強制運動が及ぼす運動歩行への影響をみる実験で、当初の期待どおり、強制回転ゲージが有用であったことから、強制運動の方法をいくつか行う必要がなかった。これらの条件設定が研究当初からスムーズに進められたことで、早い段階でデータを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)このマウスの発症原因となる遺伝子の解析が必要であるが、多大な費用を必要とされること。(2)詳細にプルキンエ細胞の変性および関連する神経細胞を観察するにあたり、特殊染色が必須であること。(3)運動評価の方法がロータロット試験のみでよいのか検討する必要がある。特に、歩行解析が、定量的でしかも多方面からの分析が必要である。これらの方策を研究していく。
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Research Products
(10 results)