2011 Fiscal Year Annual Research Report
人の生理活動レベルに基づく「時間」の定義とその利用法
Project/Area Number |
22650138
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大日方 五郎 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (50111315)
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Keywords | リハビリテーション科学 / 福祉工学 / 健康・福祉工学 / 生活における時間 |
Research Abstract |
人が単位時間あたりにこなすことのできる仕事量を計測し、その関係の逆、すなわち単位仕事量当たりの時間を新たに定義することを目的とした研究を進めた。仕事としては、多くの人が行うものの一つとして、自動車運転を取り上げた。人の生理的活動を基準にして、運転操作時の疲労と運転操作の確実性の間に相関を見出し、それが個人を超えて年齢、性別を問わずに多くの人を対象に共通の尺度で評価できる可能性を見出した。この尺度は、日常的に比較的手軽に計測できる心拍、血流量、体表面温度から計算できる定量的なものであり、1時間以上の連続測定が可能であれば、単位仕事量当たりの時間と強い相関を持つ量として算出できる(以下「生理時間尺度」と呼ぶ)。6名の実験協力者を得て、実車による運転操作実験に基づいて、上記の生理時間尺度を個人ごとに求め、本研究で提案する方法の日常生活での有効性を検証した。検証結果では、実験室レベルの評価とほとんど同じものが得られており、日常生活での尺度として利用できることが明らかとなった。人が感じている「時間の流れ」と生理時間尺度の関連を主観評価に基づいて調べたが、これについて個人差が大きく総合的に理解することはできなかった。 本研究の結果に基づいて提案する生理時間尺度は、筋運動、神経活動に依存して変化するものであることは一般的理解であるが、生理時間尺度が変動するメカニズムは現時点では不明である。したがって、この尺度の生理学的な理解が今後の課題である。さらに、この尺度を日常生活で手軽に算出できるデバイズが開発できれば、本研究の内容を反映して、日常生活における行動量を決定する指標として利用することが可能となる。このデバイス開発も今後の課題である。人が感じる「時間の流れ」と生理的時間尺度との関連を明らかにする研究も今後必要である。
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Research Products
(2 results)