2011 Fiscal Year Annual Research Report
運動試技の観察・予測時における大脳-小脳機能連関と言葉によるコーチングの神経基盤
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22650140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳原 大 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (90252725)
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Keywords | 走り高跳び / 小脳外側半球部 / 言葉がけ / コーチング |
Research Abstract |
本研究においては、走り高跳び競技に焦点をあて、あらかじめ撮影した自分や他人の跳躍試技を見た際の脳活動を機能的核磁気共鳴画像法(functional Magnetic Resonance Imaging:fMRI)を用いて記録し、特に大脳-小脳機能連関に注目して脳機能解析を行った。被験者としては、陸上競技部等に所属し、競技経験が豊富で一流競技レベルに該当する大学生(競技者群)、一方、走り高跳びの経験がない一般大学生を未経験者群として対象とした。本年度は競技者群の被験者数を増やし、群間での統計的検定に十分な被験者数を確保した。助走から踏切までの動画を見てその後の跳躍の成否を予測・回答する際に、競技者群においては未経験者群よりも小脳外側半球部、下前頭回および島などの領域において有意な活動の増大が認められた。また、選手を指導する際にはそのほとんどは言葉による伝達に依存し、選手はそれを正しく理解できるかどうかがパフォーマンスおよび動作の上達に大きく影響するが、このような指導者から言葉で教示された際の選手の脳活動についても未だ明らかではない。そこで、競技の指導の現場において、競技者に対して指導者がどのような言葉で指導・コーチングするのが有効なのかについて神経生理学的知見を得るために、競技者において自分の試技の動画を見ている際に指導者から言語がけによる教示を与え、その際の脳活動について解析した。事前に撮影した自身の跳躍試技の動画を見た後に直接指導している指導者から言葉がけを呈示し、それらの脳活動を比較した結果、動作の修正を促す言葉がけ後において小脳外側半球部の複数の領域で活動の増加が見られた。この結果は、運動の中枢性プログラムの一種としての内部モデルに関連する小脳皮質などの脳領域が、競技者が指導者から言葉がけを受けることによって実際に活性化するということを示唆するであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画における第2番目の計画として、「指導者から言葉による教示を与えた際の競技者の脳活動-コーチングの脳神経科学-」を遂行し、特に被験者としては競技者に焦点を当てて行った。最終年度においては、被験者を競技経験のない者にも拡張し、競技者群との比較解析を行うが、そのための準備も行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、走り高跳びの競技経験がない一般成人(大学生)を対象とし、指導者から言葉による教示を与えた際の脳活動を解析するが、競技者群との群間比較を行うために、十分な被験者数を確保する。
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Research Products
(3 results)