2011 Fiscal Year Annual Research Report
スポーツ選手における心理的ウェルビーイング向上の因果モデルの構築
Project/Area Number |
22650147
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋本 公雄 九州大学, 健康科学センター, 教授 (90106047)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根上 優 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (80108430)
西田 順一 群馬大学, 教育学部, 准教授 (20389373)
内田 若希 北九州市立大学, 基盤教育センター, 准教授 (30458111)
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Keywords | スポーツ / 心理的ウェルビーイング / 因果モデル / スポーツドラマチック体験 / 自己概念 / 人間力 / QOL / メンタルヘルス |
Research Abstract |
平成23年度(2年目)は、スポーツ選手の心理的ウェルビーイングの向上効果め因果モデルを構築するため、仮説モデルとその構成概念の精緻化を進めるとともに、調査研究のためにアンケート調査票を作成し、一部でデタの収集を図った。 仮説モデルは、スポーツ体験(独立変数)→心理的競技能力(媒介変数)→人間の強みと生きる力(媒介変数)→心理的ウェルビーイング(従属変数)という一連のメカニズムを考え、構成している。具体的には、スポーツ体験におけるドラマチックな体験が競技場面における心理的スキルを育み、人間の強みとしてのスポーツ特有のポジティブ特性やヒューマンエージェンシー(人間力)の向上を通して、自尊感情やメンタルヘルスなどの心理的ウェルビーイングの向上がもたらされるというモデルである。 上記の構成概念を捉える尺度としては信頼性・妥当性を有する既存の尺度を用いる。スポーツ体験はドラマチック体験量で捉えることにし、スポーツドラマチック体験尺度および改定版尺度(橋本;2005;阿南,2010)を用いる。心理的競技能力は徳永・橋本(1990)・が提唱している、競技意欲、精神的安定・集中、自信・作戦能力、協調性から構成される心理的競技能力診断検査を用い.人間の強みとしては、スポーツ特有のポジティブ特性尺度(徳永;2007>を用いる。心理的ウェルビーイングとしては身体的自己知覚尺度(内田:研究分担者;2007)やメンタルヘルス尺度を用いることにする。これらの構成概念を含む調査票を作成した。なお、ヒューマンエージェンシー(人間力)に関する尺度はないので、論型的展開を試みているところである。 現在、大学スポーツ選手を対象として調査研究を進めているが、調査バイアスがかからないように、幅広いスポーツ集団を対象としてデータ収集を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仮説モデルの精緻化を進め、さまざまな心理的構成概念を含む調査票を作成することができた。また、パイロットスタディが開始されたことで、評価としては、「おおむね順調に進展している」≧判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究分担者の根上優(スポーツ社会学、研究分担者)が主張する現代人に欠如しているヒューマンエージェンシー(人間力)についてであるが、これはスポーツ競技参加で培われる部分があると推察している。しかし、このヒューマンエージェンシー(人間力)を測定する尺度は開発されていない。根上氏自身は尺度などを用いて測定・数量化するものではなく、スポーツ競技で生起する事象を解釈していくかが重要である主張している。本研究の枠組み(メカニズム)のなかで、ヒューマンエージェンシー(人間力)は新しい概念であるが、極めて重要な視点と考える。よって、現在では論理的にスポーツとヒューマンエージェンシー(人間力)、について考察しているところである。しかし、研究代表者としては、尺度化を図りたいと考えており、今後の解決していかなければならない問題点である。
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Research Products
(4 results)