2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22650150
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
彼末 一之 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 教授 (50127213)
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Keywords | 野球 / 回転 / 手 / 指 |
Research Abstract |
野球の投手が投ずるボールの回転は投球のパフォーマンスに大きく影響するが,測定の難しさから解析はほとんど進んでいない.最近申請者はボールの回転数,回転軸方向を算出する測定系を開発し,その有効性を確認した.一方,ボールの回転はボールリリース直前の手,指の動きによって決まると考えられる.特に指の動きは重要だが,指の動きは素早く,通常のビデオ映像では細かい動きはとらえられない.本年度は、すでに開発したボール回転速度・軸角度の解析方法を用い、大学生野球投手のフォーシームストレート(以下ストレート)における飛翔軌道と回転速度・軸角度の関係を明らかにする。また、回転軸に対する縫い目の通り方がストレートと異なるツーシームストレート(以下ツーシーム)と、普段とは異なるプロ野球公認球でのストレート(以下「プロストレート」)も同時に検証し、縫い目の向きやボールの違いとの関係も明らかにする。大学現役硬式野球部員投手7名を被験者に1球種あたり3球ずつ投げさせ、その様子を4台のハイスピードカメラにより撮影した。この映像から、動作解析ソフト(Frame-DIASIV)を用い飛翔軌道の3次元座標値を算出し、初速度や投射角度、そこから予想される軌道と実際の軌道を算出し、その到達点差ΔX・ΔZを算出した。また回転速度と回転軸角度θ(仰角)、φ(方位角)を求め、そこからSpとその垂直方向(Spver)、水平方向への成分(Sphor)を算出した。全投球において、θとΔZに負の相関関係が認められ、またSpverとΔZについても正の相関関係が認められた。 同様にφと血、SphorとΔXにも、正の相関関係が認められた。またツーシームも、ストレートと同様に有意な相関が認められたものの、縫い目に関する特異な結果は認められなかった。「プロストレート」にはストレートとの明確な違いは見られなかった。
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