2011 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸循環カップリング指標を用いた新規ストレス強度判定システムの開発
Project/Area Number |
22650155
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
新関 久一 山形大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (00228123)
|
Keywords | 位相同期 / 呼吸性不整脈 / 精神課題 / 唾液アミラーゼ |
Research Abstract |
社会構造や労働環境の変化によって心理ストレスは増大しつつあり、メンタルヘルスの管理は労働安全衛生上の重要な課題となってきている。しかし無侵襲でストレスをモニター可能な手法は提案されていない。心拍リズムゆらぎに基づく自律神経活動の評価が行われているが、呼吸の影響を強く受けることから定量化が難しいと指摘されている。本研究では呼吸性不整脈(RSA)の位相差ゆらぎが正規化したストレス指標となりうるか検討を行った。20代の健常大学生20名を対象とした。被験者は5分間安静の後、PCによる二桁の暗算課題に挑戦した。暗算は1問につき5秒以内で解答させ、100問正解するまで続けた。誤答はブザーで警告を与えた。暗算終了後再び5分間の安静を保った。その間、心電図、呼吸、血圧を連続的に計測し、唾液αアミラーゼを実験開始3分、6分、11分後および実験終了1分前に計測した。Hilbert変換により呼吸とRSAの瞬時位相を求め、位相差から位相コヒーレンス(λ)を算出した。心拍リズムゆらぎの周波数解析を行い、RR間隔で正規化した高周波成分(nHF)と低周波成分(nLF)のパワーおよびRSAを算出した。暗算遂行で心拍数、血圧の上昇、呼吸数(f_R)の上昇、RSAの減弱、λの低下が認められた。αアミラーゼは暗算開始6分後に有意に上昇し交感神経活動の賦活が示唆された。λはnHFおよびRSAと強い正の相関を示し、nLF/nHFと負の相関を示した。f_Rを随意的に暗算時のレベルに上昇させるとnHFやRSAは減弱するのに対し、λはほとんど影響を受けなかった。RSAの位相差ゆらぎからf_Rに影響を受けない自律神経活動の正規化指標が得られる可能性が示唆された。研究成果はAmerican Journal of Physiologyに公表し、国際会議uHeal thcare 2011で発表した。
|